シューズクロークの間取りと、シューズクロークをつくる時の注意点について、リフォーム設計のプロである一級建築士が解説します。
シューズクロークの間取りは、大きく分けて2種類。
- 玄関からのみ出入りするウォークインタイプ
- 玄関から入りホールなどに通り抜けできるウォークスルータイプ
さらに床のパターンが3通り。
- シューズクローク内に下足エリア・上足エリアの両方を設ける場合
- シューズクローク内をすべて下足エリアとする場合
- シューズクローク内をすべて上足エリアとする場合
どちらの間取りで、どの床仕上パターンを選ぶかによって、使い勝手や収納量が大きく変わります。
間取りや床のパターンと、意図する使い方が合っていない場合、使いにくいシューズクロークになってしまうことも。
どのパターンのシューズクロークが優れているということではなく、使う人によって、ベストなシューズクロークの間取りは異なります。
記事の中で説明するメリットやデメリットをよく考慮して、どの間取りや床パターンのシューズクロークが自分に合っているのかを検討しましょう。
また、シューズクロークをつくるときの注意点についても、記事の中で詳しく説明していきます。
シューズクロークは本当に便利なので、ここ数年「シューズクロークが欲しい」という人が急増。
ぜひ最後まで読んで、後悔のないシューズクロークをつくってくださいね。
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シューズクロークの間取りは2種類
シューズクロークの間取りは、大きく分けて2種類あります。
- ウォークインタイプ
- ウォークスルータイプ
どちらのシューズクロークも中に人が入ってくつなどを収納できますが、ウォークインタイプは玄関のみから出入りし、ウォークスルータイプは玄関から入りホールなどに通り抜けが可能。
言葉だとわかりにくいので画像を見てみましょう。
ウォークインタイプ
ウォークスルータイプ
出典:南海プライウッド
広さや形状のバリエーションは色々ありますが、シューズクロークの間取りは大きく分けると、この2種類に分類できます。
シューズクロークの床パターンは3種類
次は、シューズクロークの床仕上について分類していきます。
シューズクローク内の床仕上バリエーションは3通り。
- シューズクローク内に上足、下足エリアの両方を設ける場合
- シューズクローク内をすべて下足エリアとする場合
- シューズクローク内をすべて上足エリアとする場合
下足エリアは玄関と同じ高さでタイルなどで仕上げ、上足エリアは玄関ホールと同じ高さでフローリングなどで仕上げます。
間取り2種類×床パターン3種類で、計6種類のシューズクロークが考えられますが、中には使いにくい組み合わせもあり注意が必要。
次はそれぞれの組み合わせについて説明していきます。
シューズクロークの間取りと床パターンの組み合わせ
シューズクロークの間取り2種類×床仕上パターン3種類=6種類の組み合わせを、1つずつ説明していきます。
ウォークインタイプ×下足・上足エリアの両方を設けた場合
出典:パナソニック
下足でシューズクロークに入る
↓ ↓ ↓
くつをぬいで収納する
↓ ↓ ↓
シューズクロークの上足エリアへ
↓ ↓ ↓
玄関ホールへ
ウォークインタイプだけど、ウォークスルータイプのような使い方ができます。
ただし、画像のように、下足エリアと上足エリアの両方から出入りできる大きな開口が必要。
ウォークインタイプ×すべて下足エリアとする場合
出典:南海プライウッド
実例図面を見たほうがわかりやすいと思うので張ります。
出典:旭化成ホームズ
玄関ホールとシューズクロークが極端に離れている例ですが、この画像で動線をイメージしてみてください。
土足でシューズクロークに入る
↓ ↓ ↓
くつをぬいで収納
↓ ↓ ↓
サンダルなどをはいてシューズクロークから玄関、上足エリアの玄関ホールへ移動
シューズクロークにくつを収納した後、玄関に戻り上足エリアに行くまでの間を素足で歩くわけにはいかないので、サンダルなどが必要になります。
または、シューズクロークの他に、普段使いのくつ箱を玄関に設けるケースも。
図面にもシューズクロークの他に大きな玄関収納があるので、そちらを普段使いとし、シューズクロークはプラスアルファの収納として使う想定なのでしょう。
ウォークインタイプ×すべて上足エリアとする場合
通り抜けできないウォークインタイプのシューズクロークをすべて上足エリアにしてしまうと、とても使いにくくなります。
土足で玄関に入る
↓ ↓ ↓
くつをぬいでシューズクロークへ
↓ ↓ ↓
くつを収納
↓ ↓ ↓
サンダルをはいて玄関に戻り
↓ ↓ ↓
玄関ホールへ
わざわざくつを脱いで上足エリアに上がったのに、また下足エリアに下りないといけないというのが、すごく無駄な動きです。
このタイプだと、多くの人は面倒くさくなって、玄関にくつを脱ぎっぱなしにしてしまいそう。
次はウォークスルータイプについて見ていきましょう。
ウォークスルータイプ×下足・上足エリアの両方を設けた場合
出典:南海プライウッド
シューズクロークというと、まず思い浮かべる形状だと思います。
シューズクロークの出入口にそれぞれ扉をつける場合でも、このパターンなら
- 段差を上がる(下りる)
- 扉を開け閉めする
この2つの動作を同時にしなくていいので、とても使いやすい組み合わせ。
実例図面を見てみましょう。
出典:旭化成ホームズ
扉を開けてシューズクロークに入り、段差を上がってから玄関ホールへの扉を開けるという動作になりますね。
段差の位置と扉の位置がずれていることが、使いやすさのポイントです。
ウォークスルータイプ×すべて下足エリアとする場合
リフォーム設計をしている筆者もあまり見たことがない組み合わせですが、探してみたらありました。
出典:大和ハウス工業
画像は玄関→シューズクローク→洗面室という動線になっていますが、洗面室ではなく玄関ホールでもいいかと思います。
ただ、先にお話したように、扉を開ける動作と段差を上がる動作は一緒ではない方が使いやすく安全。
ですので、このパターンより「ウォークスルータイプ×下足・上足エリア」のパターンの方がおすすめです。
ほんの少しでいいので、扉の手前に上足エリアをつくりましょう。
ウォークスルータイプ×すべて上足エリアとする場合
出典:ウッドワン
すべて上足エリアにするよりも、少し土間部分があった方が使いやすいのですが、実はこのパターンはリフォームでよく採用する間取りです。
リフォームでシューズクロークを新設する場合、新設するシューズクロークと玄関の土間部分の間にはすでに基礎が立ち上がっているケースがほとんど。
ブロック基礎などの簡易な基礎であれば簡単に撤去してしまいますが、荷重を受けている基礎の場合はカットしたりすることがあまり好ましくありません。
そういった場合は基礎を残すと同時に床組も残すので、シューズクローク内はすべて上足エリアとします。
先にも書きましたが、シューズクローク内をすべて上足エリアにする場合は、通り抜けができないウォークインタイプだと使い勝手が非常に悪くなります。
シューズクローク内をすべて上足エリアにする場合は、必ずウォークスルーの間取りにしましょう。
「そうは言ってもスペースがあまりない」という場合は、こんなプランもありますよ。
出典:大和ハウス工業
無駄のない空間の使い方をしていて、動線も使いやすそうな間取りです。
次は、シューズクロークの2種類の間取りについて、メリットとデメリットを解説していきます。
ウォークインタイプのシューズクローク|メリット・デメリット
出典:南海プライウッド
画像を見ながらのほうがメリット・デメリットがわかりやすいのでもう1度同じ画像を貼りました。
ポイントは「シューズクロークへの出入口が1か所なこと」
これがメリットにもデメリットにもつながります。
ウォークインタイプのシューズクローク|メリット
ウォークインタイプのシューズクロークは、
- 出入口が1つしかない
- 人が通り抜けるための通路スペースも不要
ですので、収納スペースが多くとれます。
収納量を優先したい人が選ぶべき間取りです。
このような人には、ウォークインタイプのシューズクロークがおすすめ。
出典:ウッドワン
これをシューズクロークと呼ぶか、単に玄関収納と呼ぶかは迷うところですが、ウォークインタイプの間取りならここまで小さなシューズクロークも可能です。
ウォークインタイプのシューズクローク|デメリット
ウォークインタイプのシューズクロークを使う場合の動線は、
玄関→シューズクローク→玄関→玄関ホール
となり、必ず玄関を2回通過することに。
その分動線が多くなり、ウォークスルータイプのシューズクロークに比べると、使い勝手が劣ります。
シューズクロークと玄関ホールの上足エリアに距離がある場合は、普段使いのくつを収納できる玄関収納をシューズクロークとは別に設けたほうがよい場合も。
ウォークスルータイプのシューズクローク|メリットデメリット
次はウォークスルータイプのメリットデメリットを見ていきましょう。
出典:南海プライウッド
ウォークスルータイプのシューズクロークも「出入口が複数あること」がポイントになり、ウォークインタイプのメリットがデメリット、デメリットがメリットになります。
ウォークスルータイプのシューズクローク|メリット
ウォークスルータイプのシューズクロークは、その名の通り「通り抜けられること」が最大のメリット。
玄関→シューズクローク→玄関ホールなど
動線に無駄がないので、とても使いやすいです。
使い勝手を優先したい人が選ぶべき間取り。
ウォークスルータイプのシューズクローク|デメリット
ウォークスルータイプのシューズクロークは、
- 出入口が複数必要
- 人が通り抜ける通路スペースが必要
シューズクローク内を目いっぱい収納スペースとして使うことができません。
ですので、ウォークスルータイプのシューズクロークは、
- 収納量がそれほど多く必要でない人
- 十分な広さのシューズクロークをつくるスペースがある人
このどちらかに当てはまる場合にのみ採用するようにしましょう。
ウォークスルータイプのシューズクロークなのに、収納するものが多すぎて、片方の出入口を収納物でふさいでしまっている失敗例をよく見かけます。
それなら、ウォークインタイプできちんと棚を作って収納したほうが、見た目もきれいで使いやすいですよ。
シューズクロークの注意点
次は、シューズクロークをつくるときの注意点についてお話します。
シューズクロークは換気が重要
シューズクロークの後悔で1番多いのが「換気」について。
窓も換気扇もないシューズクロークを目にすることが本当に多いですが、もれなくクサイです(笑)
「窓をつけると収納量が減ってしまう」ということであれば、換気扇をつけましょう。
「シューズクロークが外部に面していないから通常の換気扇がつけられない」という場合は、室内側に排気するルームファンをつけましょう。
大事なことなので繰り返し言いますが、「シューズクロークには絶対に窓か換気扇が必要」です!
シューズクロークの間取りは収納量を考えて決める
ウォークスルータイプのシューズクロークにする場合は、先にもお話した通り「収納物に対して広さが十分にとれること」を確認しましょう。
出入口が複数で人が通り抜ける通路スペースが必要なウォークスルータイプは、きちんと「通り抜けられて」こそ使い勝手の良さが生かせます。
また、収納量を考えるときには、シューズクロークに入れたいものは何かをよく考えておきましょう。
くつの他に、コート、ゴルフバッグ、自転車、ベビーバギーなどなど。
出典:南海プライウッド
入れたいものがしっかり入る広さと棚の配置を検討することが重要です。
シューズクロークには扉をつけるべき
筆者はこれまでに数々のお宅で使用中のシューズクロークを見てきていますが、整然と整理されているシューズクロークは本当に少数。
家族だけが見るなら、シューズクロークの中が雑然としていてもいいですが、お客様が来た時には隠したいですよね。
ですので、シューズクロークの出入口には扉をつけることをおすすめします。
シューズクロークの扉は引戸が便利
シューズクロークの出入口には扉をつけることをおすすめしましたが、その扉の種類は引き戸がおすすめ。
特に「シューズクロークに出入りするたびに扉を開け閉めするのは面倒!」と考える人は、開けっ放しにしてもジャマにならない引き戸が一番です。
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シューズクロークの間取り|まとめ
シューズクロークの間取りは大きく分けて2種類です。
- 出入口が1か所のウォークインタイプ
- 出入口が複数あるウォークスルータイプ
シューズクローク内の床仕上パターンは3つ。
- シューズクローク内に上足、下足エリアの両方を設ける
- シューズクローク内はすべて下足エリアとする
- シューズクローク内はすべて上足エリアとする
間取り2種類×床パターン2種類で計6種類のシューズクロークが考えられますが、使いにくい組み合わせも。
ウォークインタイプ×上足、下足エリアの両方を設ける | 〇 |
ウォークインタイプ×すべて下足エリアとする | 〇 |
ウォークインタイプ×すべて上足エリアとする | ✕ |
ウォークスルータイプ×上足、下足エリアの両方を設ける | 〇 |
ウォークスルータイプ×すべて下足エリアとする | ✕ |
ウォークスルータイプ×すべて上足エリアとする | 〇 |
基本的に✕がついた組み合わせは使いにくいので、〇のついた組み合わせでシューズクロークをつくることをおすすめします。
また、シューズクロークをつくる上での注意点は、
- 換気
- 収納量
- 扉
どれも快適にシューズクロークを使う上で重要なポイント。
シューズクロークは本当に便利な空間です。
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