二階だけをリフォームして、単世帯→二世帯住宅にすることは可能かどうかについて、リフォーム設計のプロが解説していきます。
親世帯が住む単世帯を二世帯住宅にする場合、
- 一階を親世帯
- 二階を子世帯
このような分離をして、おもに二階だけの間取りを変更するリフォームが、数多く施工されています。
単世帯→二世帯住宅へのリフォームは、リフォームの中でも件数が多い内容。
その中でも、二階だけを間取り変更して二世帯住宅にするリフォームは、費用を抑えやすいので人気があります。
ただ、おもに二階だけをリフォームするとしても、一階をまったくリフォームしないというのは、ほとんどの場合で不可能。
- 二階の間取り変更に伴い、一階側からも構造的な補強工事が必要なケース
- 二階に新設する水廻りの給排水経路を確保するため、一階の天井や壁を一部施工しなおさなければならないケース
このように、二階だけでなく、一階にも多少のリフォームが必要になることがほとんど。
また、築年数が20年を超えている場合は、一階の水廻りや内装などを一緒にリフォームすることも。
この記事では、二階だけのリフォームで二世帯住宅にすることが可能かどうかだけでなく、おもに二階だけを中心にリフォームして二世帯住宅にした間取り実例を2つ紹介。
さらに、注意点や費用、補助金についても、わかりやすく解説していきます。
ぜひ、二世帯住宅リフォームの参考にしてくださいね。
まずは、おもに二階だけをリフォームして二世帯住宅にした実例を見てもらうとイメージがわきやすいので、そこから説明していきます。
これからリフォームをするすべての人に読んでもらいたい記事はこちら。
リフォーム会社を決める前に絶対読んでおいてほしい記事はこちら。
10万円以上のリフォームをする人が必ず知っておくべきことはこちら。
二世帯住宅リフォームについての別記事はこちら。
二階だけのリフォームで二世帯住宅|間取り実例①
二階だけをメインにリフォームして二世帯住宅にした事例、1つ目はこちら。
↓ ↓ ↓
- 玄関は共有
- 一階を親世帯
- 階段~二階を子世帯
このような二世帯住宅にリフォームします。
二階のビフォーはこんな感じ。
↓ ↓ ↓
ビフォーは単世帯なので、キッチンやお風呂、洗面室は一階にしかありません。
この二階に子世帯用のLDKを新設します。
↓ ↓ ↓
広々としたLDKが、二階にできました。
さらに、二階には子世帯用の洗面室とお風呂も必要。
ビフォーはこんな感じ。
↓ ↓ ↓
吹抜と納戸を、洗面室とお風呂にします。
↓ ↓ ↓
トイレは間取りを変えずに、便器や手洗器を新しくして、内装をやり替え。
次は、主寝室。
ビフォーアフターはこんな感じ。
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たくさんあった吹抜に床を組み、主寝室にしています。
主寝室用のWICを造り、その一部をキッチン側からのパントリーに。
さらに、廊下にもクロークを2つ設けているので、収納力はバッチリ。
改めて、二階全体のビフォーアフターは、こんな感じ。
↓ ↓ ↓
一階は間取りを変えず、親世帯がそのまま使います。
ただ、間取りを変えないとはいえ、吹抜をなくしたり、二階に水廻りを新設したりする部分は、一階側からの工事も必要。
また、築年数が20年を超えていたので、一階のキッチンやお風呂、洗面台、トイレも一緒にリフォームをしました。
そのため、
- キッチン×2セット
- ユニットバス×2セット
- トイレ×2セット
- 洗面台×2セット
すべての水廻り設備を2セットずつ用意し工事したため、費用はかなり大きなものに。
二世帯住宅リフォームと、一階の水廻りリフォームを兼ねるので、どうしてもリフォーム費用が高くなってしまうのです。
そのような場合は、二階だけをメインでリフォームして、一階は必要最低限の工事にすることも可能。
でも、リフォームは一度にまとめて工事をした方が、費用をおさえられるケースがほとんど。
工事を分ければ分けるほど、重複したりムダな工事が発生するなどして、トータルでかかる費用がアップしてしまうのです。
予算や築年数、将来必要になるリフォームをよく考慮して、リフォームの規模を決めましょう。
二階だけのリフォームで二世帯住宅|間取り実例②
二階だけをメインにリフォームして二世帯住宅にした事例、2つ目はこちら。
↓ ↓ ↓
こちらも、玄関は共有で、
- 一階を親世帯
- 二階を子世帯
このように分離しますが、
- お風呂
- 洗面室(脱衣室)
- ユーティリティ
- ランドリールーム
一階のこれらの部屋は、親世帯と子世帯で共有します。
一階と二階のリフォームをわけて説明していきますね。
一階=親世帯+共有エリア
一階のビフォーはこんな感じ。
↓ ↓ ↓
点線で囲った部分は、親世帯と子世帯で共有しますが、この部分も間取りを少し変更。
↓ ↓ ↓
キッチン→ランドリールーム
↓ ↓ ↓
ダイニング→キッチン
ダイニング→LD
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今まで親世帯の寝室は二階にあったので、一階に寝室をつくります。
ビフォーはこんな感じ。
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2つある和室の1つを主寝室にします。
↓ ↓ ↓
主寝室とWICをつくりました。
改めて、一階全体のビフォーアフターは、こんな感じ。
↓ ↓ ↓
続いて、二階のリフォームを見ていきましょう。
二階=子世帯
二階=子世帯のリフォームを見ていきます。
この事例も、元々が単世帯だったため、二階にはLDKがありません。
二階ビフォー
↓ ↓ ↓
二階アフター
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将来、子どもがもう1人増えた場合に、リビングを主寝室として使えるよう、DKと間仕切れるようにしました。
続いて、主寝室と子ども室。
ビフォー
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アフター
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ほとんど間取りは変えず、主寝室の収納をWICに変更。
次は、洗面。
ビフォーは、二階用の小さな洗面スペースのみ。
↓ ↓ ↓
アフターは、子世帯がメインの洗面室として使えるようサイズアップ。
↓ ↓ ↓
納戸のスペースを少し洗面室に取り込みました。
改めて、二階全体のビフォーアフターは、こんな感じ。
↓ ↓ ↓
さらに、屋根や外壁もメンテナンスが必要な時期だったため、屋根の葺き替えと外壁の塗装も同じタイミングで工事しました。
二世帯住宅リフォームで二階のサッシを交換したりするのには足場が必要なので、その足場をそのまま屋根や外壁のリフォームにも使い、トータルコストを抑えています。
1つ目の事例も、2つ目の事例も、どちらも二階がメインの二世帯住宅リフォームではありますが、一階や他の部分もそれなりに工事をしています。
次は、二階だけのリフォームでは、二世帯住宅にできないケースについて、説明します。
二階だけのリフォームでは、二世帯住宅にできないケースがほとんど
二階だけのリフォームでは、二世帯住宅にできないケースがほとんどだと最初にお話しました。
その理由は、以下。
- 二階に増築する場合、一階側からの構造補強が必要
- 二階に新しく水廻りを設ける場合、給排水経路を確保するため、一階側の工事が必要
また、絶対に必要ではないけれど、以下もあります。
二階の二世帯住宅リフォームと一緒に、一階や外部を工事した方がいいケース
それぞれ、くわしく説明していきますね。
二階に増築する場合、一階側からの構造補強が必要
一階と二階で世帯をわける二世帯住宅リフォームの場合、二階の床面積を増やすために、一階の屋根や吹抜部分に増築をすることがあります。
その場合、二階だけでなく一階側からも、構造的な補強工事や内装工事が必要なケースがほとんど。
補強する場所や内容によって、工事や費用の大小が異なるので、リフォーム会社によく説明してもらってくださいね。
二階に新しく水廻りを設ける場合、給排水経路を確保するため、一階側の工事が必要
単世帯→二世帯住宅にリフォームする場合、二階にキッチンやお風呂などの水廻りを新設することがよくあります。
その場合、新しく設けた水廻りの給水や給湯、排水の経路を確保しなければなりません。
二階から直接配管を外に出し、露出配管として外壁に沿って配管する場合は一階の工事が不要になりますが、そうでない場合は一階側からの工事が必要になります。
二階の二世帯住宅リフォームと一緒に、一階や外部を工事した方がいいケース
二階メインの二世帯住宅リフォームとはいいながらも、築年数によっては
- 一階の水廻り設備の交換工事
- 一階の内装工事
- 屋根や外壁などのメンテナンス工事
これらの工事も一緒に行うことをおすすめするケースが多々あります。
先にもお話した通り、リフォームはできるだけまとめて工事した方がムダが少ないのでお得。
一度の工事にかかる費用は上がるけれど、将来のことも考えると、トータルでかかる費用は下がるのです。
ですので、築年数的に必要なリフォームがある場合は二世帯住宅リフォームと一緒に工事することも検討しましょう。
もちろん、既に一階はリフォームが済んでいるとか、築年数がそれほど経っていない場合なら、一階や外部は最小限の工事で対応することも可能です。
おもに二階だけをリフォームして二世帯住宅にするときの注意点
二階だけをメインにリフォームして、二世帯住宅にするときの注意点は2つ。
- 二階だけのリフォームでは、二世帯住宅にできないケースがほとんど
- 築年数によっては、二階だけのリフォームではなく、一階や外部などの工事も一緒に施工した方がお得
先にお話した内容が、そのまま注意点となります。
また、二階メインの二世帯住宅リフォームでよく質問されるのが、これ。
工事の内容にもよりますが、二階がメインで一階は必要最低限の工事とする場合なら、元々住んでいた世帯のみ一階で生活しながらリフォームをすることも。
ただ、工事関係者の出入りが激しいし、音もかなりのものになるので、可能なら仮住まいをおすすめします。
二階だけの二世帯リフォームについての注意点以外にも、二世帯リフォーム自体についての注意点もあり、それについては別記事でくわしく解説しています。
ぜひ、あわせて読んでみてくださいね。
普通の家を二世帯にリフォーム!間取り例や注意点、費用をプロが解説
二階だけのリフォームで二世帯住宅|費用について
二階だけのリフォームで二世帯住宅にする場合の費用は、
- どこまでの水廻り設備を二階に新設するのか
- 一階の屋根部分に増築するのか
- 吹抜部分に増築するのか
- 間取り変更はどの程度行うのか
これらの要素によって、大きく左右します。
ですので、一概にいくらとはいえませんが、
「こんな二世帯住宅リフォームをしたらいくらかかった」
というデータがたくさん見られるサイトがあるので、紹介します。
↓ ↓ ↓
面倒な登録などが一切不要で見られるので、ぜひチェックしてみてください。
トップページから画像の二世帯リフォームの費用と相場までの行き方や、サイトの使い方は別記事でくわしく説明しています。
二世帯住宅にリフォーム!費用と相場・補助金で知っておくべき5つのこと
あわせて読んでみてくださいね。
二階だけのリフォームで二世帯住宅|補助金について
二階だけがメインの二世帯住宅リフォームでも、使える補助金があります。
年度ごとの予算やリフォーム内容によって使える補助金はさまざまなので、リフォーム会社によく相談してみてくださいね。
よく使われる補助金は以下3つ。
- 介護保険
- こどもみらい住宅支援事業→こどもエコすまい支援事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
各補助金については、別記事二世帯住宅にリフォーム!費用と相場・補助金で知っておくべき5つのことで説明しているので、あわせて読んでみてくださいね。
こどもみらい住宅支援事業は、2022.11.28に受付を終了し、こどもエコすまい支援事業が新たに創設されます。
二世帯リフォームの必勝法
二階だけをメインに工事して二世帯住宅にするリフォームは、リフォームの中でも難易度が高め。
構造的にも、設備的にも、配慮することがたくさんあります。
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リフォーム成功に必要なたった1つのこと|すべての失敗はコレが原因
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二階だけをリフォームして二世帯に|まとめ
二階だけをリフォームして二世帯住宅にすることについて、さまざまな角度からお話してきました。
基本的に、二階だけをリフォームして二世帯住宅にすることは難しく、ほとんどのケースで一階にも工事が発生しています。
また、絶対必要ではないけれど、築年数的に一階や外部のリフォームも一緒にやった方がいいケースも。
一度にかかる費用は大きくなるけれど、トータルで考えると、リフォームはまとめて工事した方がお得です。
満足な二世帯住宅リフォームができますように。
応援しています。
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