キッチンリフォームの失敗例でよくあるものを、リフォーム設計のプロが6つ紹介します。
キッチンのリフォームというと、キッチンセットばかりに目が行きがちですが、その他の部分にも失敗例がたくさん。
せっかくお気に入りのキッチンセットが選べても、その他の部分で失敗してしまうと、キッチンリフォーム自体を後悔することにもつながりかねません。
この記事では、キッチンリフォーム失敗例を以下6つに分けて紹介。
- インテリアの失敗例
- キッチンのリフォームプラン失敗例
- キッチンの位置変更における失敗例
- 電気容量の失敗例
- 配管の失敗例
- 給気の失敗例
キッチンセットに関するものはもちろん、電気や給気など、自分ではなかなか気づけない失敗例もたくさん。
どの失敗例も、リフォーム設計を20年以上経験している筆者が、頻繁に見聞きしているものばかりです。
これらの失敗例を参考に、長く安心して使える心地よいキッチンをつくりましょう。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
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キッチンリフォームの失敗例①インテリア
キッチンリフォームの失敗例、1つ目はインテリアの失敗。
このような失敗例は、本当によく耳にします。
キッチンリフォームをするときは、キッチン単体でインテリアを考えないことが大切。
キッチンだけではありませんが、リフォームをする場合は必ず
- 既存部分
- 新規部分
のバランスを考える必要があります。
- キッチンと他の空間をつなぐ「ドア」
- キッチンの隣の部屋の「床材」や「壁材」
などなど、キッチンのインテリアを検討するために、相性を確認すべき要素がたくさん。
キッチンセットと床や壁、室内ドアとのバランスを画像で見ていきましょう。
↓ ↓ ↓
出典:LIXIL リシェル
どの画像もキッチンと周辺のインテリアがきちんとマッチしていますよね。
たとえば、
リビングは既存のまま、ダイニングとキッチンをリフォームする
このような場合には、隣接するリビングを考慮しながらキッチンやダイニングのインテリアを考えることが必要。
既存部分と新規部分の間を仕切るドア(引き戸)は、開け放すことが多いですか?
多いのであれば、インテリアのバランスをより強く考える必要があります。
それと、基本的にはドア(引き戸)や窓枠の色は家の中で統一させるので、そのドアや窓枠の色に合ったインテリアを考える必要もあります。
ここで注意があります。
「インテリアのバランスを考える」というのは、必ずしも「ほかの部屋と同じ床材や壁紙にする」という意味ではありません。
インテリアの色合わせで一番チグハグになりやすいのは「ちょっと違う色」同士の色合わせ。
とくに木目は色合わせが難しく、
- 濃茶とミディアム茶の木目
- オークなどのしっかり木目のでたものとバーチなどの木目があまりはっきりしないもの
などの組み合わせはチグハグになりがち。
逆に、濃茶と薄茶の木目は、意外にマッチすることが多いですよ。
実際のサンプルを並べてみることで、材料どうしがケンカしないかを確認して色決めをしましょう。
キッチンリフォームの失敗例②キッチンのリフォームプラン
キッチンリフォームの失敗例、2つ目はリフォームプランの失敗。
キッチンセットだけでなく、キッチンの配置や収納量など、キッチンのリフォームプランに関する失敗例でよくあるものを紹介していきますね。
キッチンリフォームプランの失敗例でよくあるのは、以下6つ。
- キッチンのカウンターが高すぎる/低すぎる
- キッチンセットと背面収納の離隔距離が狭くて、キッチンに複数の人が入ったときにすれ違えない
- 吊戸棚がうまく使いこなせていない
- 収納が少ない、収納しにくい
- キッチンに置きたいものを置く場所がない
- 隣の家の人と目があうなど、窓の位置が気に入らない
1つずつ説明します。
キッチンのカウンターが高すぎる/低すぎる
キッチンリフォームプランの失敗例、1つ目はキッチンのカウンターについて。
まずは、キッチンセット自体の失敗例です。
出典:LIXIL リシェル
キッチンのカウンター高さは、キッチンの不満でよく耳にするもの第一位(筆者調べ)
- 低すぎる→シンクでお皿などを洗う時に腰が痛くなる
- 高すぎる→ガスコンロのゴトクの上にフライパンや鍋をのせると、高くて使いにくい
シンク側は高い方が使いやすいけれど、コンロは少し低めの方が使いやすいので、ちょうどいい高さを見つけるのが意外と難しいのです。
キッチンカウンター高さの目安は、
身長÷2+5センチ
逆算してみると標準の85センチカウンターにちょうどいい身長は、160センチということになります。
身長160センチを目安に、それより背が高いか低いかでカウンター高さを検討してみましょう。
とはいえ、使いやすい高さは、けっこう個人差があります。
同じ身長の人でも、高めのカウンターが好きな人もいれば、低めがいいという人も。
身長だけで決めるのではなく、ショールームなどで、カウンター高さを確認した方が安心です。
シンクで洗い物をするときにはちょうどいい高さでも、ガスコンロの場合はゴトク分高くなります。
コンロの前でものを炒める、鍋の中のものをかき回すなどの動作も想定しながら、カウンター高さを決定しましょう。
そしてスリッパを履いてキッチン前に立つ人はスリッパを履いて、素足の人は素足で、いつもと同じ状態で確認してくださいね。
カウンター高さの変更は、キッチンセットのブランドによって、1センチ単位。2.5センチ単位、5センチ単位など、さまざま。
希望するカウンター高さが、予定しているキッチンブランドで実現可能かをよく確認しておきましょう。
キッチンセットと背面収納の離隔距離が狭い
キッチンリフォームプランの失敗例、2つ目はキッチンと背面収納の離隔距離。
出典:LIXIL リシェル
キッチンを使う人数が1人だけなのか、それとも複数なのかによって、キッチンセットと背面収納をどれくらい離したらいいかが変わってきます。
1人だけで使う場合は90センチくらいあれば十分ですが、2人以上で使う場合は1mくらいあると余裕がでます。
また、キッチンや背面収納の収納が引出しの場合、特に一番下の段が引出しの場合は、少し下がった位置にしゃがみこんで引出しを開けるという動作をすることになります。
ですので、その動作をするのにジャマにならないような離隔距離が必要。
実際にショールームで、一番下の引出しを開けてみる動作をしてみて離隔距離を決めましょう。
逆に、離隔距離が広すぎても、無駄に歩く距離が増え、使いにくいキッチンになってしまいます。
とはいえ、キッチンに使える部屋の大きさがすでに決まっている場合は、自由に離隔距離を設定できないことも。
その場合は、標準の奥行65センチのキッチン→60センチに変更したり、標準45センチの食器棚→65センチや50センチ、40センチ、35センチに変更したりという方法もあります。
出典:LIXIL リシェル
画像はLIXILのキッチン「リシェル」の例です。
キッチンメーカー(ブランド)によって、奥行のバリエーションが異なるので、よく確認しながら検討してみてくださいね。
食器棚のカウンターの上に電子レンジなどの家電を置く場合は、その家電がのるだけの奥行を確保する必要があります。
吊戸棚がうまく使いこなせない
キッチンリフォームプランの失敗例、3つ目はキッチンの吊戸棚について。
出典:LIXIL リシェル
リフォームをする前のキッチンで、吊戸棚を有効に使えていましたか?
筆者の担当するお施主様に確認すると、普段使わない雑多なものを入れている人がほとんど。
使い勝手のよい吊戸棚については、別記事にわかりやすくまとめたので、あわせて読んでみてくださいね。
キッチンの吊戸棚|おすすめの吊戸棚なら使い勝手が飛躍的にUP!
収納が少ない、収納しにくい
キッチンリフォームプランの失敗例、4つ目はキッチンの収納問題。
収納するものをよく考えて収納プランをしないと、こんな失敗につながることも。
キッチンの収納家具については、別記事を用意しています。あわせてどうぞ。
キッチンの周辺収納|選び方をリフォームのプロが解説!コストダウン案も
キッチンに置きたいものを置く場所がない
キッチンリフォームプランの失敗例、5つ目はキッチンに置くべきもののためのスペースがないというもの。
収納の項目と似ていますが、こちらはキッチンや食器棚の中に収納するものではなく、外に出して使うことが多いゴミ箱などについてのお話です。
よく忘れられがちで、置き場所に困るのが以下。
- 生ごみ処理機
- ゴミ箱
- ウォーターサーバー
特に生ごみ処理機やウォーターサーバーは、電源が必要なケースが多いので、きちんと最初から置く場所を決めておかないとリフォームをした後にとても困ることになります。
ゴミ箱も分別の数だけ必要になるので、かなりのスペースを必要としますよ。
キッチンプランをするときは、キッチンに置きたいものをしっかりピックアップしておきましょう。
キッチンの窓が適切でない
キッチンリフォームプランの失敗例、6つ目は窓について。
キッチンの窓は、キッチンの心地よさを左右するとても大切な要素。
リフォームで窓の位置や大きさを変えるときは、隣の家や通行人の視線も考えて計画しましょう。
キッチンの窓選びについては別記事を書いています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
キッチンの窓|選び方やおすすめ、位置をリフォームのプロが解説
キッチンリフォームの失敗例③キッチンの位置変更
キッチンリフォームの失敗例、3つ目はキッチンの位置変更について。
キッチンの位置変更に伴う失敗で、多い失敗例は以下5つ。
- キッチンからの音による失敗
- キッチンからのにおいによる失敗
- 2階キッチンの失敗
- 配管経路の失敗
- 換気経路の失敗
1つずつ説明します。
キッチンからの音による失敗
キッチンの位置変更に伴う失敗、1つ目はキッチンからの音。
キッチンは意外に音が出る空間。
- シンクに水が当たる音
- 換気扇の音
- 材料を切る音
などなど、キッチンから出る音によって、テレビの音が聞こえにくくなってしまったり、居間での会話がしにくくなってしまったりすることも。
対策としては、以下。
- 音がしにくい換気扇(シロッコファンなど)を選ぶ
- 音がしにくい静音シンクを選ぶ
- 調理中は空間を分けられるよう扉や間仕切り開閉壁をつける
キッチンからの音をそんなに気にしないという人なら、静音シンクや音の静かなファンだけの対策でもいいかもしれませんが、
このような人は、完全なオープンキッチンではなく、間に間仕切り開閉壁などを入れて、必要な時にキッチンを独立させることができるプランがおすすめ。
キッチンからのにおいによる失敗
キッチンの位置変更に伴う失敗、2つ目はキッチンからのにおい。
キッチンからは音同様に「におい」も出ます。
LDKが一体のオープンキッチンは、空間をとても広々しく感じることができるステキなプランですが、においもLDKに充満します。
そのことを理解した上でオープンキッチンを選択しましょう。
2階キッチンの失敗
キッチンの位置変更に伴う失敗、3つ目は2階のキッチンについて。
キッチンだけではないですが、浴室や洗面室、トイレなど、水廻り空間の真下が寝室の場合、寝室で誰かが寝ている時間に上階の水廻りで水を使うと、
- 水がシンクにあたる音
- 水が排水管を流れる音
これらがうるさく聞こえてしまうことがあります。
排水管を遮音シートでしっかり巻くなどの対策はもちろん、実際に上階で水を流すとどんな風に下階で聞こえるのかを確認してみてからプランの検討をすることも大切。
「配管経路」の失敗
キッチンの位置変更に伴う失敗、4つ目はキッチンの配管経路。
キッチンだけではありませんが、水廻り空間には
- 給水
- 給湯
- 排水
が必要です。
- 給水管は家の外にある水道メーターからキッチンの水栓金具まで
- 給湯管は家の外にある給湯器からキッチンの水栓金具まで
- 排水管はキッチンシンクの排水口から外部にあるマスまで
を水が流れていきます。
キッチンの位置を変更する場合は、これらの水が流れる経路をしっかり確保できることが条件。
特に排水管については勾配がついていないと、水が滞留したり逆流してしまうので、注意が必要です。
キッチンの位置変更が可能かどうかは、リフォーム会社とよく相談して決めましょう。
「換気経路」の失敗
キッチンの位置変更に伴う失敗、5つ目はキッチンの換気経路。
水の流れ同様気をつけたいのが、「換気フードのダクト」経路。
外壁に面する位置に換気フードがつくならあまり問題はないですが、センターキッチンなどで天井に換気フードを固定する場合などは、換気フードから外部までのダクトをどういう経路にするかをよく検討する必要があります。
一部の天井を低くしてその中にダクトを通したり、屋根裏にダクトを通して軒裏から出したり、色々な方法がありますので、これもリフォーム会社とよく相談して決めましょう。
キッチンリフォームの失敗例④電気容量
キッチンリフォームの失敗例、4つ目は電気容量の失敗。
キッチンには電源を必要とする機器がたくさん。
- IHクッキングヒーター
- 食器洗い乾燥機
- オート水栓
- 換気フード
- 流し元灯
- クッキングコンセント
などなど。
また、電子レンジや炊飯器、ポットなど電気をたくさん必要とする家電もキッチンに置かなければなりません。
電気の打合せをきちんとせずに、今あるコンセントのままリフォームをしてしまうと、たくさんの家電に対応しきれないことも。
分電盤の交換も含め、これからの生活に必要な電気容量をしっかり計画してからリフォームをしましょう。
目に見えない部分ですが、頻繁にブレーカーが落ちたりすると、イライラするだけでなく、危険です。
キッチンリフォームの失敗例⑤配管
キッチンリフォームの失敗例、5つ目は配管の失敗。
先ほどキッチンの位置を変更するときに注意する項目として給水・給湯・排水の「配管経路」の説明をしましたが、ここでは給水管と給湯管の「管」自体についてお話します。
給水管について
新築時の給水管に「ライニング鋼管」「VP管」を使っている場合に、注意が必要です。
ライニング鋼管とは鉄の管の内側に樹脂でコーティングしてある水道管のこと。
長く使ううちにそのコーティング部分が薄くなったり、なくなってしまったりして、鉄の部分がサビてしまい、水が漏れてしまうことがよくあります。
VP管とは樹脂製の水道管ですが、あまり強い樹脂ではないため、長く使ううちに割れ、水が漏れてしまうことがよくあります。
ライニング鋼管やVP管を使っている場合、寿命は20年~30年。
年数を経るにつれ、水漏れのリスクが高くなっていきます。
それなのに、新しいキッチンセットを入れて、床や壁を新しくしても、給水管は古いまま再利用してしまうリフォーム会社や担当者が本当に多いのが現状。
たとえばキッチンを新しくした1年後に給水管から水漏れした場合、せっかくきれいにした壁や床を一部はがして漏水補修しないとならない可能性が大。
せっかくキッチンを新しくするなら給水管も新しくして、この先安心してキッチンを使えるようにしておきましょう。
給湯管について
給湯管は「銅管」を使っている場合に注意が必要。
銅管は15年くらい経つと、ピンホールという小さな穴が開きやすくなり、そこから漏水します。
給湯管も給水管同様、キッチンと一緒に新しくすることをおすすめします。
キッチンリフォームの失敗例⑥給気
キッチンリフォームの失敗例、6つ目は給気の失敗。
最近の住宅は戸建てもマンションも高気密。
その高気密な空間でキッチンの換気扇をまわすと、家の中の空気量が少なくなり、「負圧」になります。
負圧になると、
- ドアの下などの隙間からヒューヒューと風切り音のする風が入ってくる
- ドアや窓を開けるときにすごく重くなる
- 換気扇の吸い込みが悪くなる
このような不具合が起きるのです。
マンションの場合は外壁の穴の数に限りがあるので対策のしようがありませんが、戸建ての場合は、換気量に見合った給気口を設けることで不具合を回避することができます。
給気口はキッチンの中に、排気をする換気扇の径と同等程度の大きさ(150φが多いです)で設けるとよいでしょう。
手動で開け閉めする給気口だと面倒くさくて開けっ放しか閉めっぱなしのどちらかになってしまいがち。
換気扇をつけると同時に給気もしてくれる、換気連動タイプがおすすめ。
排気機能と給気機能の両方がついている「同時給排気」の換気フードもあるので、どちらがいいかリフォーム会社に相談してみてくださいね。
キッチンリフォームの必勝法
キッチンリフォームの失敗例をたくさん紹介してきましたが、リフォームを成功させるためには、もう1つ重要なことがあります。
リフォームのウラもオモテも知り尽くした筆者が、リフォームの必勝法をあなたに教えます!
↓ ↓ ↓
リフォーム成功に必要なたった1つのこと|すべての失敗はコレが原因
リフォームで失敗する人を1人でも減らすために書いた記事です。
ぜひ読んでみてくださいね。
キッチンリフォームの注意点|まとめ
キッチンリフォームの失敗例を6つ解説してきました。
キッチンをリフォームするということは、単に「新しいキッチンセットを選ぶ」だけではなく、
- インテリアなどは、キッチン単体としてではなく他の空間とのバランスを考えること
- キッチンリフォームで今の不満をどう解消するかを考えること
- キッチンの位置を変更するときに注意すべきこと
- 電気配線や給水給湯配管など、表に見えてこない部分もしっかり検討すること
- 排気量に合わせた給気量を確保すること
が重要。
せっかくのリフォームです。
単なるキッチンセットの交換で終わらせず、この先ずっと安心して使えるキッチンを作りましょう!
この失敗例が参考になると嬉しいです。
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