玄関ドアリフォームの方法は、おもに「交換」「カバー工法」「塗装」の3種類です。
どの方法にもメリットとデメリットがあり、費用や工期も異なります。
メリットやデメリットを知らずに、費用の安さだけで玄関ドアリフォームの方法を選んでしまうと、
このような後悔につながることも。
この記事では、リフォーム設計のプロである筆者が、
- 玄関ドアリフォームの方法
- 各リフォーム方法のメリットデメリット
- 各リフォーム方法がどんな人に向いているか
これらについて説明していきます。
あなたの家に合うリフォーム方法で、玄関ドアを美しくよみがえらせましょう。
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玄関ドアリフォームの方法3種類
玄関ドアリフォームの方法は、主に以下3種類です。
- 交換
- カバー工法
- 塗装
1つ目の玄関ドアをまるごと交換する方法は、玄関ドアすべてが新しくなります。
ただし、玄関ドア周辺の外壁、内壁、土間のタイルや石の工事も必要になるため、工期と費用が他の2つの方法に比べて大きくなりがち。
2つめの玄関ドアカバー工法は、既存玄関ドアの枠を残し、その枠の上に部材をかぶせて新しいドアを取り付けます。
たいていの場合、1日で工事が完了するので、工期や費用が交換と比べると、安くなるケースがほとんど。
ただし、開口寸法が小さくなったり、段差ができるなどのデメリットがあります。
3つ目の玄関ドア塗装も比較的工期が短く、費用がおさえられる工法です。
既存玄関ドアが木製の場合はもちろん、アルミドアの場合でも特殊な塗料を使用して塗装が可能。
だいたいの特徴をつかむために一覧表で確認してみましょう。
交換 | カバー工法 | 塗装 | |
費用の安さ | ~ | ||
工期の短さ | ~ | ||
仕上がりの良さ | ~ |
それぞれの玄関ドアリフォームのイメージがつかめたでしょうか。
玄関ドア塗装の☆に幅があるのは、工法により価格や工期、仕上がりが大きくバラつくから。
簡単な塗装と特殊塗料を使う塗装とでは、費用が数十万円異なることも。
また、工場塗装をする場合は、数週間の工期を必要とします。
次からはそれぞれの玄関ドアリフォームについて、より詳しい内容を説明していきます。
玄関ドアリフォーム|ドアをすべて交換する
玄関ドアリフォーム、1つめは「玄関ドアをまるごと交換」する方法。
外壁をカットして玄関ドアを交換しているよい画像が見つからず、やっと見つけたのが上の画像。
ちょっと印象の悪い画像ですが、20年以上リフォーム設計をしている筆者としては、玄関ドアリフォームをするならこの方法が一番おすすめです。
まずはリフォームの流れを説明します。
玄関ドアリフォーム「交換」|工事手順
玄関ドアリフォーム「交換」の工事手順を説明します。
①外壁にカッターを入れ、既存玄関ドアを枠ごと撤去。
この際玄関ドアだけでなく外壁や床のタイル、内部の壁仕上も壊れる。
↓ ↓ ↓
②新しい玄関ドアに合わせて軸組
↓ ↓ ↓
③新しい玄関ドアを取付け
↓ ↓ ↓
④玄関ドアまわりの防水紙などを再施工
↓ ↓ ↓
⑤モルタルやタイルなどで外壁を仕上げる
↓ ↓ ↓
⑥モルタルの場合はモルタルの上に塗装をする
↓ ↓ ↓
⑦床のタイルなどを補修または張り替える
↓ ↓ ↓
⑧内部の壁紙などを補修または張り替える
確かに大工、左官屋、塗装屋、タイル屋、内装屋など、複数の業者が施工するので、工事のボリュームとしては大きなものとなります。
でも、リフォーム工事においてこの程度の内容の工事は日常的に行われているので、外壁をカットして補修してという工事が特別大掛かりなリフォームかというと、そうではありません。
次に玄関ドアをまるごと交換するリフォームのメリットを見ていきましょう。
玄関ドアリフォーム「交換」|メリット
先にもお話しましたように、玄関ドアをまるごと交換するリフォームは、筆者が一番おすすめする方法です。
なぜかというと、すべてを新しくすることで、リフォーム後に心配を残さないから。
カバー工法や塗装では確認することができない壁内部や防水状況までしっかり確認した上で、新しいドアを取り付けるので、玄関ドアに関しては新築時の状況とほぼ一緒。
また長い年月を、安心して使用できます。
もちろん玄関ドアの交換リフォームにも欠点はあります。
次はそれをお話していきます。
玄関ドアリフォーム「交換」|デメリット
玄関ドアをまるごと交換するリフォームのデメリットは、費用と工期の2点。
工事手順で説明したように、たくさんの業種の職人さんが施工するので工期が長く、その分費用も高額になります。
では、玄関ドアをまるごと交換したほうがいいのはどんな場合か。
次はそれを説明します。
玄関ドアリフォーム「交換」|どんな人におすすめか
玄関ドアのまるごと交換リフォームを選択したほうがいいのは、以下のケース。
- 外壁塗装など、外壁の工事もあわせて検討している場合
- 玄関ドア以外に、窓もいくつか交換したいという場合
- 玄関ドアだけでなく、玄関の床もタイルなどを張替えて一新したい場合
単純に玄関ドアだけを交換する場合は、そのためだけに外壁をモルタル補修したり塗装補修するので工事が割高になりますが、外壁をさわる工事を他に一緒にするのならその割高感は薄れます。
玄関ドアリフォーム|カバー工法で交換する
玄関ドアリフォーム、2つめは「カバー工法で玄関ドア交換」する方法。
カバー工法とは、上の画像のように、既存のドア枠に新しい枠材をかぶせて施工する方法です。
さっそく工事手順から見ていきましょう!
玄関ドアリフォーム「カバー工法」|工事手順
玄関ドアをカバー工法でリフォームする場合の工事手順を見ていきましょう。
画像の通り、
①既存玄関ドアの枠を残してドアを撤去
↓ ↓ ↓
②新しいドア枠を古い枠の上から施工
↓ ↓ ↓
③ドアの取付
↓ ↓ ↓
④外部と内部の古い枠を隠す部材を取付
たいていの場合、1日で工事がすべて終わります。
玄関ドアリフォーム「カバー工法」|メリット
カバー工法での玄関ドアリフォームは、なんといってもその工期の短さが魅力。
入る業者さんの数が少ない分、工期が短く費用も安くおさえられます。
ドア自体の価格は通常の玄関ドアと比較するとカバー工法用のドアの方が高額です。
玄関ドアリフォーム「カバー工法」|デメリット
工期が短くて費用も少ないカバー工法の玄関ドアリフォームですが、実はデメリットも。
- 開口寸法が小さくなる
- 段差ができるケースもある
- 壁内部の状態を確認できない
- 外壁側の枠がごつくなる
1つずつ説明していきます。
開口寸法が小さくなる
カバー工法による玄関リフォームの最大のデメリットが、この開口寸法が小さくなること。
既存玄関ドア枠の上に新しい枠を取付けるので、枠の内々寸法が小さくなり開口幅、高さ共小さくなります。
ただし、既存玄関ドアが親子ドアや袖壁があるドアの場合は、小扉や袖壁部分の巾を小さくすることで、メインの扉サイズは小さくしなくてすむ場合も。
小さくなる巾は片側25㎜程度なので、両側合わせて5センチ程度。
ドア巾の5センチは意外に大きいので、
と感じる人も。
ちなみに、我が家もこのカバー工法にて玄関ドアリフォームをしましたが、やっぱり少し狭くなったなと感じました。
高さも上の枠が25㎜程度下がります。
段差ができるケースもある
ここで言う段差は「玄関内部のタイル」と「玄関ドア下枠」との段差。
この部分については、ドアをまるごと交換する場合には、段差なしで施工可能です。
ちなみに、「玄関ドア下枠」と「室外のポーチ」には、どんな施工でも、基本的に段差ができます。
確かに、カバー工法冒頭の画像には「段差なし」と表記がありますね。
/
ですが、
たいていの場合
段差がつきます!
\
その段差にスロープ状の部材をつけることにより、メーカーによっては「段差なし」と表現しています。
先にも書きましたが、まるごと玄関ドアを交換する方法なら、スロープ状の部材をつけなくても段差がありません。
壁内部の状態を確認できない
カバー工法による玄関ドアリフォームは、既存玄関ドアの枠を残すので、玄関ドア廻りの防水状況が確認できません。
なにも問題がないことがほとんどですが、玄関ドアを解体すると、まれに防水がうまくいっていないことが原因で壁内部の木部が腐っていたり、白アリに食われているのを発見するケースも。
まるごと交換する場合以外は、こういった壁内部の不具合を確認することができないので、少し心配が残りますね。
外壁側の枠がごつくなる
カバー工法の玄関ドアは、見る人が見るとすぐに「カバー工法だ!」と気づきます。
そのポイントがドア枠のごつさ。
上からかぶせるドア枠のサイズは何種類かあるのですが、既存玄関ドア枠のサイズより大きいものを選んでかぶせるため、思った以上に巾の広い枠になってしまうことも。
カバー工法による玄関ドアリフォームをした人の感想でわりとよく聞くのが、
この2つです。
玄関ドアのカバー工法は簡単に施工できる反面、デメリットも意外に多いので注意が必要。
次はどんな場合にカバー工法を選択すべきなのかについて説明していきます。
玄関ドアリフォーム「カバー工法」|どんな人におすすめか
玄関ドアリフォームでカバー工法を選択した方がいいのは、以下。
- 単純に玄関ドアだけをリフォームしたい場合
- 外壁や床タイルの工事まではしたくない場合
- 外壁がタイルなどで補修しにくい場合
- ドア枠のごつさを気にしない場合
- 開口幅が狭くなっても大丈夫な場合
特に、外壁がタイルなどで補修しにくい場合には、カバー工法でリフォームすることが多いです。
玄関ドアリフォーム|塗装する
玄関ドアリフォーム、3つめは「玄関ドアを塗装」する方法。
玄関ドアの塗装は、施工方法によって金額と仕上がりがかなり大きく異なります。
玄関ドアが木製の場合と、アルミ製の場合とで考え方が少し違うので、わけて説明していきますね。
玄関ドアリフォーム「塗装」|「木製」玄関ドア
玄関ドアが木製の場合、塗装の方法は以下。
- 多少の下地処理をしてから、木目を生かす塗料で塗装する
- 既存塗料を剥離してから、木目を生かす塗料で塗装する
- ドアを外して工場に持っていき工場塗装で新品同様に塗装する
1つずつ詳しく説明していきます。
多少の下地処理をしてから、木目を生かす塗料で塗装する
1つめは、玄関ドアを軽く紙やすりで削って汚れを落とし、木目を生かす塗料で塗装する方法。
既存塗料の上から塗装するので、今より薄い色への塗装はできないし、同じ色にしようとしても、ほとんどの場合で少し濃くなってしまいます。
塗装屋さんが現地で施工でき塗装の中では一番安くおさえられる方法ですが、仕上がりも金額なり。
また、塗装屋さんの技術や塗装工程によって、著しく仕上がりや価格が異なります。
A社は2度塗りするけれど、B社は1度しか塗らない
とか、
A社の塗料はB社の塗料よりも紫外線に強い塗料
など。
こんな感想が多いのはこの塗装方法です。
既存塗料を剥離してから、木目を生かす塗料で塗装する
2つ目の方法も、現地で塗装屋さんが施工します。
1つ目の方法と違い既存の塗料を剥離してから新しい塗料を塗っていくので、仕上がりは1つ目の方法よりグッときれいです。
ドアを外して工場に持っていき、工場塗装で新品同様に塗装する
3つ目は、ドアを外して工場で白木状態まで剥離。
その後に塗装する方法。
工場塗装は現場で塗装するのとは別格に精度の高い塗装が可能です。
ドアが工場にある間は、仮ドアを設置します。
この方法は筆者も何回かお施主様に提案し施工したことがあるのですが、本当に新品同様になります。
こんなドアが、
↓ ↓ ↓
出典:ミクロオン
新品同様、ツヤッツヤの状態によみがえりますよ!
とても美しく、満足度もすごく高いこの工法ですが、費用はかなり高め。
玄関ドアを新しくするよりは安いけれど、塗装としてはちょっとびっくりするくらいの価格です。
安心してください。
ハンドルを新しいものに交換したり、塗装することも可能です。
ハンドルを塗装する場合は、特殊塗料での塗装ができる業者に依頼しないといけないので、次に紹介するアルミ製玄関ドアの塗装を参考にしてみてください。
玄関ドアリフォーム「塗装」|「アルミ製」玄関ドア
玄関ドアがアルミ製の場合、普通に塗装するとはがれてきてしまいますが、特殊塗料で塗装してくれる業者がいます。
金属への塗装が得意なので、ハンドルなどの金物も新品同様に塗装が可能。
経年劣化で白っちゃけてしまったこんなアルミドアが、
出典:エイテックプロ
新品同様に!
ただし、特殊技術なので費用は高めです。
玄関ドアリフォーム「塗装」|メリット
玄関ドアを塗装でリフォームするメリットは、費用の安さと工期の短さ。
ただ、塗装の方法によって、費用が大きく異なりますし、工期も短いものは1日で終わりますが、工場塗装など長いものだと半月以上かかるものも。
玄関ドアを塗装でリフォーム|デメリット
玄関ドアを塗装でリフォームするデメリットは、ハンドルや丁番などを交換しない場合、その部分の不具合がそのまま残ってしまうこと。
また、カバー工法同様、壁内部の防水状況が確認できないこともデメリットとしてあげられます。
玄関ドアを塗装でリフォーム|どんな人におすすめか
玄関ドアリフォームで塗装を選択した方がいいのは以下。
- 思い入れのある木製玄関ドアの場合
- 予算を落としたい場合
仕上がりにめちゃくちゃ差があるので、くれぐれも注意してくださいね!
玄関ドアリフォームにおすすめの商品
次は、玄関ドアを交換、カバー工法でリフォームする場合に人気がある玄関ドアの機能を紹介していきます。
最近人気の機能はこの2つ。
- 採風
- 電気錠
1つずつ説明します。
採風玄関ドア
年々ひどくなる夏の暑さのせいか、風が通る玄関ドアを希望されるお施主様が急増中!
家の中の風通しを良くするためには、風の入り口と出口を作ることが重要。
玄関ドアを通風することで風通しがグッと良くなることが多々あります。
玄関のドアを開けた途端に家の中を風が抜けるという場合は、玄関ドアを採風タイプに交換するとかなり効果的。
もちろん網戸もついているので、虫などが入る心配はありません。
電気錠付き玄関ドア
電気錠も玄関ドアで最近人気の機能です。
重い荷物を持っているときに、カバンの中のカギを探すというのは、かなり面倒で大変。
このようなお声をよく聞きます。
玄関ドアリフォーム|断熱性能に注意!
玄関ドアのリフォームでよくある失敗に、「断熱性能の低い玄関ドアを選んでしまった」というものがあります。
玄関ドアには、以下画像のような断熱性能があります。
出典:リクシル 玄関ドア
リフォームで玄関ドアを交換する場合、現在ついているものよりも断熱性能が劣る玄関ドアを選んでしまうと、玄関が寒くなってしまいます。
見積金額を安く見せるために、断熱性能の低い玄関ドアを提案するリフォーム会社もあるので、注意しましょう。
玄関ドアリフォームの必勝法
玄関ドアリフォームの方法選びも大切ですが、リフォームを失敗しないためには秘訣があります。
玄関ドアリフォーム計画をこのまますすめる前に、リフォーム成功に必要な知識を身につけておきませんか。
↓ ↓ ↓
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リフォームのウラもオモテも知り尽くした筆者が、あなたにリフォームの必勝法を教えます。
玄関ドアリフォーム|まとめ
玄関ドアリフォームの方法でおもなものは、まるごと交換、カバー工法、塗装の3通り。
各リフォーム方法のメリットデメリットをよく確認した上で、自分により合う玄関ドアリフォームの方法を選びましょう。
また、玄関ドアをまるごと交換、またはカバー工法で交換する場合に、おすすめの玄関ドア機能を2つ紹介しました。
採風機能と電気錠です。
どちらも最近すごく人気の機能で、玄関ドアを交換する人は、かなりの割合で希望されます。
玄関ドアを交換してしまってからこの機能をつけようとすると、余分に費用がかかったり施工が不可能だったりしかねないので、よく検討してから玄関ドア選びをしましょう。
素敵な玄関ドアリフォームができますように!
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