屋根の板金が浮いていると言われたけど、断り方が知りたい。
屋根の板金が浮いていると言われたものの、どんな状態なのかよくわからない。
このような人に向けて、一級建築士でリフォーム設計歴20年超えのプロである筆者が、以下にわけて解説していきます。
- 屋根の板金が浮いているというのは、どんな状態か
- 屋根の板金が浮いているのはどれくらいマズイことなのか
- 屋根の板金が浮いていると言われたときの断り方
- 屋根の板金が浮いていると言われたときに、あなたが取るべき行動
「屋根の板金が浮いたままだと、雨漏りして家がダメになってしまいますよ」
「明日、ハシゴを持ってくるので、一緒に屋根を見てみませんか?」
突然やって来た人にこのようなことを言われ、
このように慌てている人もいるでしょう。
でも、ちょっとだけ待ってください。
落ち着いて、まずは筆者の話を聞いてください。
筆者は「屋根の板金が浮いている」と言われた人の屋根を何度も確認したことがあり、その対策についても知っています。
なにか行動を起こすのは、そんな筆者の話を聞いてからでも遅くはありませんから。
屋根の板金が浮いていても、今すぐ雨漏りするということは、ほとんどありません。
慌てず、しっかりと検討して対応していきましょう。
まずは、「屋根の板金が浮いている」というのが、どんな状態なのかについて、解説していきます。
「今すぐ、断り方を知りたいんだ」という人は、こちらのリンクでジャンプできます。
屋根の板金が浮いていると言われた!どんな状態?
屋根の板金が浮いていると言われても、「今ひとつどんな状態なのかがよくわからない」という人がほとんどだと思います。
どんな状態だかわからないまま、ただ不安になるのはよろしくないので、まずは「屋根の板金が浮いている」というのがどんな状態なのかを知りましょう。
屋根の板金は、屋根に使われている金属部分を差しますが、浮いていると指摘されるのは主にココ。
↓ ↓ ↓
出典:KMEW
山の頂上にあたる部分を「棟(むね)」といい、そこに取り付ける山型の板金を「棟板金」といいます。
その棟板金の断面は、こんな感じ。
↓ ↓ ↓
出典:KMEW
屋根材と板金の間に木の桟が入っていますが、この桟を「貫板(ぬきいた)」といいます。
貫板は、屋根材を葺いた後にクギで固定。
出典:KMEW
この貫板に屋根板金をスポッとかぶせ、横からクギで固定します。
このように、施工したばかりの屋根板金は、しっかりと貫板に固定されています。
でも、年数を経ると内部の貫板が痩せるなどして、屋根板金を固定しているクギが抜けかかる(浮いてくる)のです。
そうすると、当然、屋根板金を固定する力が弱まり、風でパタパタと動いたり、ひどい時には飛ばされてしまったりすることも。
実際に、屋根板金が浮いている状態の画像がこれ。
↓ ↓ ↓
パッと見では、屋根板金が浮いているかどうかはわからないと思います。
もっと、近寄って撮って拡大した画像がこちら。
↓ ↓ ↓
ここまで来てやっと、クギが抜けかかっている=浮いているのがわかりますね。
屋根の板金が浮いていると言われたら、どれくらいマズイの?
屋根の板金が浮いている状態がわかったら、次は「それってどれくらいマズイの?」ということが気になりますよね。
まずは安心してください。
「屋根の板金が浮いている=すぐ雨漏り」ではありません。
屋根の板金の下には、屋根材があるし、ルーフィング(防水紙)もあり、それらも雨が家の中に入りこまないよう働いてくれています。
出典:KMEW
だから、今日明日で、焦って行動する必要はないのです。
ただ、屋根の板金が浮いてしまった分、雨水が建物内に入りやすくなっているのは事実。
このまま、ずっと放っておいていいわけではありません。
そして、浮いている屋根の板金が、台風などの突風であおられて飛んでいってしまうことも。
近隣の人や通行人にケガをさせてしまうこともあるので、焦らないまでも、できるだけ早く対策をすることは必要です。
屋根の板金が浮いていると言われたけれど、本当?
ここまでにお話してきた内容から、
こう思った人はいませんか?
でも、
/
あなたの家の屋根、
本当に板金が浮いているのでしょうか?
\
ここで、もう一度、屋根の板金が浮いていた現場の写真を見てみましょう。
棟目からでも、スレートが色あせ、屋根板金が錆びているのがわかると思います。
でも、板金が浮いているかどうかは、けっこう近寄らないとわからないと思いませんか?
近くで見てクギが浮いているのを確認したり、実際に手で動かしてみたりしなければ、わからないのです。
屋根の下からや、近所で工事している屋根の上から見るくらいでは、わかりようがないはず。
「スレートが色あせているから、屋根の板金も浮いているに違いない」
「屋根の板金が錆びているから、留めているクギが抜けかかって浮いているに違いない」
このように想定して言っていることがほとんどです。
「だれ」に屋根の板金が浮いていると言われた?
あなたに「屋根の板金が浮いている」と言ったのが「だれ」なのかも重要です。
屋根の板金が浮いていることは、よくあります。
実際、それを補修するリフォーム工事も頻繁に行われています。
でも、「屋根の板金が浮いている」とウソをつく人もたくさんいるのです。
では、どうやって、ウソか本当かを見分けたらいいか。
それが、「だれ」が言ったか。
- 近所で工事をしているという業者?
- 突然ピンポーンとやってきた人?
- 家のことならなんでも安心して相談できるかかりつけのリフォーム会社?
③以外の場合は、ウソである可能性が95%以上です。
たとえ本当に屋根の板金が浮いていたとしても、①や②の依頼先に修理を頼むのはトラブルの元。
ひどい施工をされた何人もの施主を見てきているプロとして、まったくおすすめできません。
それと、もう1つ注意してほしいことがあります。。
それは、近所で工事をしている=安心・信用ではないということ。
近所で屋根工事をしている家なんてないことも多いし、実際に工事をしていたとしても、その人が満足しているとは限りません。
実際にその業者で工事を終えた人が、
と言わない限りは、信用できないので注意してください。
悪徳業者のやり口は、町内でできるだけ多くのカモを見つけ、悪評が立つ前にいなくなるというもの。
Aさんも、Bさんも、Cさんも、みんながその業者に屋根の板金を直してもらっていたとしても、それだけで信用しないようにしましょう。
「町内のあちらこちらの家が酷い目にあった」というケースもありますから。
屋根の板金が浮いていると言われたときの断り方
先にお話したように、屋根の板金が浮いているかどうかは、実際屋根に上がって近くで見ないと判断がつきにくいもの。
にもかかわらず、突然やってきて「あなたの家の屋根の板金が浮いている」と言われた場合は、かならず断ってください。
- 「明日はしごを持ってくるので、一緒に屋根に上って見てみましょう」と言われ約束している人も
- すでに、屋根に上ってもらって、応急処置をしてもらってしまったという人も
- 「でも、すごく親切な業者さんだったの」という人も
- なんだかよくわからないままに、契約してしまった人も
あなたが自分で点検をお願いした場合以外は、すべて断ることを筆者は強くおすすめします。
断り方について、以下の3つにわけて説明していきますね。
- 今すぐ断る
- 角が立たない断り方
- すでに契約をしてしまった人は?
今すぐ断る
断り方で一番だいじなポイントが「今すぐ」断るということ。
このような人がたまにいますが、「屋根を見てもらった」という「借り」ができるし、実際に会うとますます断りにくくなります。
今すぐ電話で断りましょう。
もし自分で断りにくいのなら、家族や頼れる人に電話してもらってもOK。
このような場合は、仕方がないので、次回その業者が訪問してきた際、「屋根に上る前に」断ってください。
屋根は家の中でもっとも重要な場所の1つ。
気安く知らない人を上らせていい場所ではありません。
無神経にスニーカーでズカズカと屋根に上る業者もいますが、地下足袋や屋根作業用のシューズで歩かないと、スレートや瓦は割れてしまいます。
とはいえ、屋根作業用のシューズは、ぱっと見スニーカーなので、それだけで、業者の良し悪しを見分けるのは難しいです。
出典:丸五
「信頼できる人以外、屋根には上らせない」
このスタンスがもっとも安心です。
角が立たない断り方
屋根の板金が浮いていると言われた人のほとんどが、ウソをつかれているという現状をお伝えしてきました。
でも、だからといって逆恨みされるような断り方をするのも考えものです。
- 今すぐ
- 波風立てず
- キッパリ
断るのがポイント。
イチオシの断り方はこんな感じ。
↓ ↓ ↓
「親戚に建築関係の者がいて、相談してみたら、懇意にしている業者を紹介してくれることになりました。申し訳ありませんが、今回の屋根工事については、そちらに相談することにします。屋根の不具合を教えていただき、ありがとうございました」
これでOK。
- もう、応急処置をしてあげたのに
- もう、準備をしてしまったのに
このようにごねられたとしても、契約前なら心を鬼にして断りましょう。
「屋根を触らせるのは、信頼できる業者だけ」
これは鉄則です。
「補修くらいならいいか」と妥協すると、それこそ雨漏りにつながって余計な工事をするはめになったり、家を傷めたりします。
この手の後始末工事を何度も経験している筆者からのお願いです。
すでに契約をしてしまった人は?
今すぐ修理しないと、大変なことになると言われ、すでに業者と契約をしてしまったという人もいるかと思います。
そんな人も、今すぐクーリングオフで契約の解除をおすすめします。
しつこいようですが、屋根は家の要。
本当に信頼できる業者にしか触らせないようにしてほしいのです。
たとえば、筆者の親戚が突然やってきた業者と屋根工事の契約を済ませていたことが発覚した場合、
- たとえ、クーリングオフの期間が過ぎていても
- 近所のAさんの屋根を工事していたとしても
- 契約金が返ってこなかったことしても
筆者は、全力で、契約を解除させるように動きます。
それくらい、屋根は大切。
ということで、契約した日を含め8日以内の人は、クーリングオフをおすすめします。
手順は、国民生活センターのサイトがわかりやすいので、参考にしてみてください。
そして、契約した日を含め8日間を過ぎてしまっているという人。
その場合も、不要な工事を販売された場合は、1年以内なら契約を解除できる可能性があります。
消費者庁のチラシがわかりやすいので、画像を張っておきます。
消費者庁 訪問販売等による悪質な住宅リフォームに関する消費者トラブルへの対策について(特定商取引法の通達改正・チラシの公表)
これらも積極的に活用してください。
屋根の板金が浮いていると言われたときに、あなたが取るべき行動
ここまでに、
- 屋根の板金が浮いている状態は、そのまま放置していいわけではないということ
- 屋根の板金が浮いていると言われたとしても、その業者を信用せずに断ること
この2つをお話してきました。
すると、
こう思いませんか?
まずは、信頼できる依頼先に屋根の点検をしてもらってください。
実際に、屋根の板金が浮いていることもあるし、なんでもない場合もあります。
なんでもなければ、それはそれで安心できますし、やっぱり屋根は定期的に点検が必要です。
ほとんどの人がそうだと思います。
家を持つと、屋根に限らず、大きなことから小さなことまで、いろいろな工事や修理が必要。
- 蛇口の交換
- 換気扇の交換
- 照明器具の交換
- 床材の張り替え
などなど。
これらの工事が必要な都度、新しい業者を探していたら、クレーム産業と呼ばれるリフォーム業界の中で、残念な会社やダメ担当者にあたってしまう確率が高まるばかりです。
だから、「かかりつけ」のリフォーム会社を探してください。
大きな工事も、小さな工事も、あなたの家に関することをすべて安心して任せられる「かかりつけ」を見つけてください。
見つけ方にはコツがあります。
別記事でくわしく解説しているので、ぜひ確認してみてくださいね。
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屋根の板金が浮いていると言われたら|まとめ
屋根の板金が浮いていると言われたあなたは、「今すぐ対応しなくては」と焦っているかもしれません。
でも、今あなたが一番やってはいけないのは、「業者のペースにのせられて、あわてて決断する」こと。
決断が1~2週間遅れたからと言って、状況が大きく変わることはほとんどないので、あわてず、慎重に「信頼できるリフォーム会社」を探しましょう。
「信頼できるリフォーム会社」の探し方は、こちらをどうぞ。
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あなたが、これから先も、安心して暮らせますように。
応援しています。
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