屋根のカバー工法には、大きなデメリットがあります。
デメリットを知らずに屋根リフォームをしてしまうと、せっかく費用をかけたのに、意味のない工事になってしまうことも。
こんなセールストークがよく使われ、それだけでカバー工法を選択してしまう人がたくさんいます。
でも、カバー工法にはデメリットがあるので、カバー工法を選んでよい場合と、そうでない場合があるのです。
この記事では、屋根のカバー工法について、以下の内容を解説していきます。
- メリットやデメリット
- 葺き替えや塗装など、他の屋根リフォームとの比較
- カバー工法の注意点
屋根をカバー工法でリフォームするときに、知っていてほしい知識を全てお伝えしますよ!
こんな疑問も解消します。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
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屋根のカバー工法|最大のデメリット
屋根のカバー工法、最大のデメリットは、
屋根の下、防水紙や野地板(合板)の状態がわからないこと。
屋根を葺き替える場合は、既存の屋根も防水紙も撤去するので、その下の状態がよくわかります。
その際、痛んでいる合板は補修し、新しい防水紙を施工。
完璧な状態を確認してから、新しい屋根の施工ができます。
それに対して、屋根のカバー工法は古い屋根材をそのまま残すので、屋根材の下を確認することができません。
たとえば、屋根の下がこんな状態になっていたとしても、わからないのです。
↓ ↓ ↓
ここまで傷んでいたら、小屋裏に入り込んで点検すればわかりますが、下から見てもわからない程度の痛みの場合はわかりません。
また、断熱材などがあり、内側からは点検できないケースも。
こんな状態の屋根に、カバー工法で施工をするとどうなるか。
クギがきかないので、屋根が下地にしっかり固定できません。
不安定な屋根材は動いてしまうので、割れるなどして、雨漏れの原因になります。
そして、腐っている合板がそのまま残るので、腐食範囲が広がり、白アリ被害につながることも。
このようなデメリットがあるため、屋根のカバー工法で施工していいかどうかは、慎重に検討する必要があります。
次は、それを説明します。
「屋根のカバー工法」を選択してよい屋根
屋根のカバー工法について、最大のデメリットをお話しました。
それをふまえて、どんな場合なら屋根のカバー工法を選択してよいのかを、ここではお話します。
まずは、屋根の構造がどうなっているかを知っておいた方が理解しやすいので、簡単に説明しますね。
屋根の構造は上から順に、以下のような構造になっています。
- 屋根材(スレートや瓦など)
- 下葺き材(ルーフィング、防水紙ともいわれます)
- 野地板(下地合板、下地ベニヤともいわれます)
- 小屋組(屋根を支える骨組みを指します)
本題に戻りまして…
カバー工法を選択してよい屋根の絶対条件は以下。
- 既存の屋根から雨漏れしていないこと
- 屋根下地合板(野地板)が傷んでいないこと
そのため、カバー工法をする前には、
- 屋根の上を点検し、屋根材の痛みがないかを確認したか
- 小屋裏の中を点検し、野地板の状態、雨漏れの跡がないかを確認したか
- その上で既存の屋根に問題がないことをきちんと確認したか
が重要。
次は、屋根のカバー工法を選択してはいけない屋根について、お話します。
「屋根のカバー工法」を選択してはいけない屋根
「カバー工法」ではなく「屋根の葺き替え」をおすすめするのは、以下の3つの場合です。
- 築年数30年超え
- 屋根材がたくさん割れていたり、水が屋根材の下に入り込んでいる形跡がある
- 天井や小屋裏に雨漏れの形跡がある
これらに1つでも当てはまる場合、以下の理由で「屋根塗装」でも「カバー工法」でもなく、「屋根の葺き替え」をおすすめしています。
- 屋根材自体が傷んでいる可能性が高いこと
- 屋根材の下にある「防水紙」や「下地合板(ベニヤ)」まで傷んでいる可能性も高いこと
- 塗装やカバー工法ではその傷んでいる部分の確認をすることができないこと
先にお見せしたこの画像の状態になっている可能性が高いのです。(もちろん程度の差はありますが)
↓ ↓ ↓
屋根材の下がこんな状態になっているのに、カバー工法で屋根材を留めようとしても、クギが効きません。
それに、腐った木材をそのままにしておくことは、家にとってものすごくよくないので、こういう場合は葺き替えを選びましょう。
屋根のカバー工法|メリット
屋根のカバー工法について、デメリットばかりをお話してきましたが、メリットもあります。
それが、リフォーム会社がよくセールストークに使うこのメリット。
既存屋根の撤去処分がないので、葺き替えと比べると費用が安く、施工期間が短くなる。
お気づきかもしれませんが、筆者はカバー工法はデメリットが大きすぎるので、葺き替え推しです。
次は、カバー工法と、他の屋根リフォームを比較します。
カバー工法と他の屋根リフォームを比較
次は、カバー工法と他の屋根リフォームを比較してみましょう。
カバー工法が他の屋根リフォームより優れていること
カバー工法が他の屋根リフォームより優れているのは、以下。
- 葺き替えよりは費用が安く、工事期間が短い
ここまでにお話している、カバー工法のメリットそのものですね。
屋根カバー工法の流れは、以下。
- 既存屋根の上に防水紙を張る
- 新しい屋根材を葺く
ですので、葺き替えと比べると
- 既存の屋根材を撤去
- アスベスト入り屋根材の処分
- 屋根下地の上張り
の工事が省略できます。
カバー工法が他の屋根リフォームより劣っていること
カバー工法が他の屋根リフォームより劣っているのは、以下2つ。
- 既存屋根に新設屋根の重さが加わるので、現状より重くなる。
- 葺き替えよりは安心感が低い
カバー工法は「軽い屋根を使うから、重ねても大丈夫」がウリ言葉。
でも、軽いと言っても、普通の屋根の1/3くらいの重さはあります。
瓦屋根とスレート屋根とでは、家に必要な壁量が変わりますが、スレート屋根でも重くならないに越したことはありません。
屋根のカバー工法|注意点
屋根のカバー工法について、見積もりを確認するときの注意点について解説します。
カバー工法だけではありませんが、見積もり金額の総額だけを見て、リフォーム会社を選ばないようにしましょう。
屋根のカバー工法に使用する屋根材には、色々なものがあります。
その材料によって見積費用は異なるので、どんな材料でカバー工法を行うのかをきちんと理解した上で、見積を検討してください。
カバー工法によく使われる屋根材は、以下2種類。
- 金属屋根
- アスファルトシングル屋根
それぞれ色々な種類の商品があるので、費用や必要なメンテナンスなどによって選んでみてくださいね。
金属系屋根材を選ぶ場合は、
- 音対策
- 断熱対策
を忘れずにしてください。
「既存の屋根材がクッションになるから、防音や断熱は不要だ」という人もいますが、
という話はとてもよく聞きます。
また、金属の屋根は熱を伝えやすいので、以下のどちらかで対策が必要。
あなたがもらった見積もりには、上のような対策が含まれていますか?
屋根の断熱や遮熱で室内の暑さがやわらぐ!おすすめの断熱材と塗料も
材料の違いや、断熱材を入れる入れないで、大きく見積金額が異なります。
カバー工法の屋根の色
カバー工法で屋根をリフォームする時に、どんな色の材料がおすすめかをお話します。
屋根の色で断トツに多いのは「黒」ですが、断トツに熱くなるのも「黒」
そうなんです。
海外では白っぽい色の屋根はよく見かけますが、日本は黒っぽい屋根が主流。
ですので、あんまり薄い色の屋根は違和感が出やすいのです。
そこでおすすめなのが、「まっ黒ではなく、「濃茶」や「濃紺」
ちなみに「グリーン」も人気があります。
屋根の色を決めるときは、外壁とのバランスも大切なので、色合わせをして決めましょう。
屋根をカバー工法でリフォームするなら、あわせて検討したい工事項目
屋根のカバー工法リフォームをするタイミングで、一緒に施工した方が、お得な工事がいくつかあります。
外壁塗装などの外壁リフォーム
屋根のリフォームをする場合は足場を組むので、その足場を外壁のリフォームにも使うと、一石二鳥。
屋根と外壁はメンテナンスの年数もだいたい同じくらいなので、外壁も一緒にリフォームすることをおすすめします。
雨どいの交換
屋根をカバー工法でリフォームする場合は、雨の流れ方が変わるので、雨どいの交換をおすすめします。
トップライト(天窓)の検討
北側のキッチンや洗面所、窓のない廊下などに暗い空間はありませんか?
そんな空間にはトップライトをつけると、一気に明るくなります。
屋根をカバー工法でリフォームするタイミングなら、トップライトの施工も簡単にできますよ!
太陽光発電
太陽光パネルを設置するのにも足場が必要なので、あわせて検討してみてください。
屋根リフォームの必勝法
ここまでに、屋根のカバー工法についてお話してきましたが、
最後にもう一度確認させてください。
- 屋根の上を点検し、屋根材の痛みがないかを確認したか
- 小屋裏の中を点検し、野地板の状態、雨漏れの跡がないかを確認したか
- その上で既存の屋根に問題がないことをきちんと確認したか
点検もせずに
「屋根はカバー工法がお得でおすすめです」
こんなふうにリフォーム会社に言われて、カバー工法を選んでいませんか?
屋根のリフォームは、単純な工事にみえて、実は難しい工事。
失敗してしまわないように、リフォームのウラもオモテも知り尽くした筆者が、リフォームの必勝法をあなたに伝授します!
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屋根のカバー工法はデメリットに注意!まとめ
屋根のカバー工法について、デメリットをはじめ、たくさんの注意点をお話してきました。
屋根の葺き替えと比べて、コスト面で有利な屋根のカバー工法ですが、
既存屋根に新設屋根の重さが加わるので、現状より重くなる。
→軽い屋根材を使う
葺き替えよりは安心感が低い
→屋根の上も、小屋裏からもしっかり点検して漏水していないことを確認した
これらのデメリット項目をしっかりクリアしてから、屋根のカバー工法を選択してくださいね。
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