屋根を断熱や遮熱すると、室内の暑さが大きく改善します。
リフォーム設計をしている筆者がお施主様からよく聞くのは、「夏には2階に上がるのもイヤなくらい暑い!」という不満。
正確には「2階が暑い」のではなく「屋根の下にある部屋が暑い」なのですが、
- 屋根から小屋裏に熱が入り込み
- 小屋裏から室内に熱が入ってくる
このような順番で、屋根の下の部屋が暑くなってしまっているのが原因。
この「屋根の下にある部屋が暑い」という場合は、屋根の断熱や遮熱がかなり有効に働く可能性が大です。
太陽の熱は窓などの開口部から室内に入るものが70%以上と言われていますが、屋根から室内に侵入する熱も侮れません。
室内の暑さを改善したい場合、窓はもちろん、屋根もしっかり断熱しないと中途半端な効果しか得られないことも。
この記事では
- 屋根の断熱や遮熱が効果的な理由
- おすすめの屋根断熱材
- おすすめの屋根の遮熱塗料
などについて説明。
暑さ対策に重要な「屋根」の断熱や遮熱について、くわしくお話します。
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屋根の断熱や遮熱が効果的な理由
屋根の断熱や遮熱をすると、なぜ室内の暑さが軽減するのか。
それは「小屋裏空間」の温度がポイント。
屋根の断熱や遮熱をしていない小屋裏空間の温度は、真夏には60度以上になることがあります。
そんな暑い空間が家の中にあれば、室内が暑くなるのは当然。
小屋裏の暑い空気が少しずつ天井から室内に伝わり、屋根の下の部屋はどんどん暑くなっていきます。
屋根から入る熱を断熱や遮熱する方法は、大きくわけて2通り。
- 屋根面で遮熱や断熱する「屋根断熱」
- 天井の上部で断熱する「天井断熱」
最近の高気密高断熱の家では「屋根断熱」と「天井断熱」の両方で断熱されていることがほとんど。
でも、あまり断熱に力を入れていない家や、古い家では「天井断熱」しかされてないケースも。
その場合、屋根と天井の間の空間「小屋裏」は、先にお話した通り、真夏には60度以上の温度になることもあるのです。
もし、自宅の屋根の断熱が「天井断熱」だけしかされていない場合、リフォームで「屋根断熱」を追加することや、屋根の「遮熱塗料」で塗装することで、夏の暑さは劇的に解消します。
また、屋根の断熱をすることで、屋根に雨が当たる音や飛行機が飛ぶ音など、屋根から入る音が軽減するという効果も。
特に、金属屋根の場合は屋根の雨音をうるさく感じる人が多いため、屋根の断熱工事をすれば、暑さも音も解消されて一石二鳥。
次は、おすすめの屋根の断熱材を紹介します!
おすすめの屋根の断熱材
屋根の断熱材としておすすめなのは、
筆者が担当するリフォームで、お施主様から「2階が暑い」という不満が出た場合に、必ず提案する商品です。
この画像は屋根断熱「アイシネンフォームLD」を施工する前と後の温度を計ったもの。
小屋裏の温度が54.5度から33度に下がっています!
アイシネンフォームLDは新築だけでなく、リフォームでも問題なく施工ができるところもおすすめのポイント。
吹付けによる施工は、隙間なく断熱材を充填でき、断熱効果が抜群です。
規格サイズで作られた断熱材を使うより、隅々まで断熱材がいきわたるので安心。
※2023.06追記
2022年2月24日、発泡ウレタンの原料となる「イソシアネート」が、有害化学物質として、EUで成分としても混合物としても使用を禁止されました。
火災のときのガス発生についても、問題視する声があがってきています。
発泡ウレタンはすき間なく断熱できる便利な材料なので、これまでおすすめしてきましたが、上記の件をふまえ、筆者は今後、発泡ウレタン系の断熱材はおすすめしないことにしました。
防火性能の面でも、以下のとおりロックウールのほうが上。
- 発砲ウレタン→難燃材料(加熱開始後5分間防火性能を満たす)
- ロックウール→不燃材料(加熱開始後20分間防火性能を満たす)
断熱性能が多少落ちたとしても、ロックウールでの屋根断熱をおすすめします。
おすすめの屋根の遮熱塗料
先に紹介した屋根断熱は、屋根の下面に断熱材を施工しますが、次は「屋根面」を遮熱するおすすめの塗料を紹介します。
屋根面の断熱や遮熱をする材料には、
- 屋根材と一体になった断熱材
- 屋根材の下に敷いて断熱する断熱シート
- 遮熱効果のある屋根塗料
などがあります。
ここでは、屋根の葺き替え工事をしないで施工できる「遮熱効果のある屋根塗料」のおすすめを紹介。
もちろん、「ちょうど屋根の葺き替えをするタイミングなんだ」という人は、「屋根材と一体になった断熱材」や「屋根材の下に敷いて断熱する断熱シート」もとても効果的なので、ぜひ検討してみてください!
屋根の遮熱塗料でおすすめの商品は、
屋根を塗装するタイミングで「家が暑い」という不満がある場合、筆者がおすすめする遮熱塗料です。
突然ですが、屋根の上に上ったことはありますか?
筆者が屋根に上ったときにまず思ったのが、「屋根って熱い!」でした。
遮熱塗料は特殊顔料によって太陽光線を反射し、屋根の表面温度を上げない効果があります。
屋根の塗装工事は施工費用が大部分を占めているので、塗料を多少いいものにしてもさほど全体の工事価格は上がりません。
ですので、
というのが筆者の考えかたです。
とはいえ、屋根の遮熱塗装だけでは、屋根の断熱としてはちょっと物足りないなというのが筆者の本音。
屋根の遮熱塗装とあわせて、上で紹介したアイシネンフォームLDなどを使った屋根断熱をすることをおすすめします。
それと屋根の塗装でもう1つお話したいことがあります。
それは、塗料の色とツヤ選びについて。
1つずつ説明します。
屋根塗料の色について
屋根塗料の色というより、屋根の色の話になりますが、
屋根の色は濃ければ濃いほど熱くなり、室内の暑さへとつながります。
にもかかわらず、屋根の人気色は相変わらず「黒」がダントツのトップ。
どんな外壁の色にも合わせやすいのが黒なので仕方ないところはあるのですが、できれば少しでも淡い色を選んで暑さ対策をしましょう。
屋根塗料のツヤについて
屋根や外壁に使う塗料は、色だけでなく「ツヤ」も指定することができます。
全ツヤと呼ばれる10分ヅヤだと、塗料のツヤがそのまま出るので結構テカテカ。
テカテカの外壁は家が安っぽく見えることもあるので、ツヤを落として5分ヅヤや3分ヅヤを選ぶ人も。
しかし、外壁は5分ヅヤや3分ヅヤにしたとしても、屋根は全ツヤ、10分ヅヤにすることをおすすめします。
理由は、大きな違いはないながらも、やはりツヤがあるほうが性能がいいから。
5分ヅヤや3分ヅヤなど、塗料のツヤを消すためにはツヤ消し材を添加しています。
添加剤が増えれば増えるほどツヤはなくなりますが、添加剤が入る分、塗料の性能はほんの少しだけど低下するのです。
屋根はダイレクトに雨や日差しが当たる部分なので、より強い性能が求められます。
できるだけ全ツヤの塗料を使いましょう。
屋根と一緒に断熱や遮熱すると効果的なのは「窓」
屋根の断熱や遮熱とあわせて施工すると効果的なのが、「窓の断熱」
そもそも、外部から室内に入る熱のうち70%以上は窓などの開口部から入るといわれています。
出典:YKKap 窓・サッシ
なので、夏の暑さや冬の寒さを軽減したい場合、まず第一に考えなければならないのは「窓」なんです。
窓の遮熱や断熱については、別記事をいくつか書いていますので、そちらもあわせて読んでみてください。
内窓でよくある後悔3つ!多くの施主が悔やむポイントをプロが教えます
屋根断熱や遮熱リフォームの必勝法
屋根断熱や遮熱リフォームは、たくさんの材料や工法があるので、その家にぴったりのリフォームを見つける必要があります。
断熱や遮熱は、家の住み心地をダイレクトに左右する内容。
よく検討して工事内容を決めないと、仕上がりに満足できない可能性もあります。
満足できないリフォームなど、リフォームに失敗してしまう人があまりにも多いので、リフォームに成功するために必要なことを記事にまとめました。
リフォーム成功に必要なたった1つのこと|すべての失敗はコレが原因
リフォームの表も裏も知り尽くした筆者が、リフォームの必勝法を伝授します。
屋根の断熱や遮熱まとめ
屋根の断熱や遮熱は、室内の暑さ対策にとても有効。
リフォームでも新築でも使える屋根断熱の吹付材料「アイシネンLDフォーム」や、屋根塗装のタイミングで選びたい屋根塗料「クールタイトシリーズ」は、筆者がリフォーム設計において何度も提案し、採用されてきた材料です。
そして、室内の暑さや寒さの改善には、屋根の断熱や遮熱だけでなく「窓」の検討も重要。
どちらかだけではなく、両方合わせて検討してみてくださいね。
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