キッチンは床選びが重要です。
キッチンの床には、調理中の水や油が思った以上にはねています。
他の部屋の床と比べて汚れやすいので、掃除のしやすい材料がおすすめ。
また、キッチンは調理などで立って過ごす時間が長い場所です。
快適に立ち仕事ができるよう、床には足ざわりがよい材料を選びたいもの。
そして、キッチンがダイニングと一体的な場合は、キッチンの床とダイニングの床とのバランスも考える必要があります。
そう、価格も重要なポイントですね。
このように、キッチンの床に求めるべき機能や性質はたくさんあり、選ぶのが難しい材料の1つ。
キッチンの床を見た目や価格だけで選んでしまうと、お手入れが大変だったり、傷みやすかったりなどの失敗につながることも。
この記事では、
- キッチンの床によく使われる材料のメリット・デメリット
- キッチンの床はどのように選んだらいいか
- キッチンの床の色はどう選ぶか
- キッチンの床に床暖房や床下収納庫は必要か
キッチンの床を選ぶときに知っておきたいことを、リフォーム設計のプロである筆者がすべてお話していきます。
ぜひ最後まで読んで、キッチンの床選びを成功させましょう。
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キッチンの床によく使われる材料
キッチンの床によく使われる材料を、多く使われる順に見ていきましょう。
フローリング
キッチンの床によく使われる材料、1番多く使われるのはフローリング。
出典:パナソニック
特にダイニングやリビングと一体になったキッチンの床に、リビングやダイニングと同じフローリングを使い、一体感を出すことが多いです。
ひと昔前は、キッチン、洗面室、トイレなど、水廻りの床にはフロアシートなどビニール系の材料を使うのが主流でした。
でも、最近はリビングもダイニングもキッチンもトイレも洗面室も、家じゅうを同じフローリングで仕上げるパターンがわりと多く、特に戸建ての新築では主流となっています。
とはいえ、フローリングはビニール系の床材よりも汚れがつきやすいので、新築時はキッチンの床にフローリングを選んだものの、リフォームの時にフロアタイルなどのビニール系床材に変更する人もけっこういます。
キッチンの床にフローリングを採用する場合、汚れが着きにくいという意味で、シート系のフローリングがおすすめ。
出典:パナソニック
フローリングの表面が本当の木ではなく、木目やいろんな柄がプリントされたシートが貼ってあるものです。
木目だけでなく、石目柄のシートフローリングもありますよ。
出典:パナソニック
一見フローリングに見えないですが、石目柄のシートが合板に貼ってあるフローリングです。
本物の石と違って木製なので、足ざわりがやわらかく温かみがあります。
フロアタイル
キッチンの床によく使われる材料、2番目に多く使われるのはフロアタイル。
出典:リリカラ
フロアタイルはビニール系の素材なので掃除がしやすいし、ビニール系といいながらもフロアシートよりは高級感があるので、使いやすい床材。
タイルのように目地がなく、それぞれのフロアタイルは突きつけ(くっつけて)施工するので、目地の掃除なども基本的には不要。
フロアシートより厚みがあるので、使っているうちにつなぎ目の口が開いてきてしまうことも少ないです。
フロアタイルの形状は450㎜×450㎜の正方形が基本ですが、他にもいろんなカタチがありますよ。
フローリング調の細長いフロアタイル
↓ ↓ ↓
出典:リリカラ
長方形のフロアタイル
↓ ↓ ↓
出典:リリカラ
変わり種のヘキサゴンタイプ。結構人気!
↓ ↓ ↓
出典:サンゲツ
写真のように色違いのフロアタイルを組み合わせてもいいですが、1色だけでもかなり個性が出てステキですよ。
フロアシート
キッチンの床によく使われる材料、3番目に多く使われるのはフロアシート。
出典:リリカラ
フロアシートは昔ながらの床材で、扱いやすい材料です。
巾1820㎜がロール状になっている材料なので、巾1820㎜以下の空間であれば、つなぎ目なしで施工できます。
ただしキッチンの場合はたいてい巾1820㎜を超えるので、どこかにつなぎ目が入るはず。
実際に施工する前に、つなぎ目の位置を確認しておくと安心ですよ。
ここで注意があります。
フロアシートには表面にでこぼことした加工(エンボス加工)がしてあるものが多いのですが、そのでこぼこが大きくて溝ができているような商品を選ぶと、掃除が大変!
溝になっている部分に汚れがたまり、サッと拭いただけでは取れません。
できるだけ凹凸の少ないものを選びましょう。
タイル・石
キッチンの床によく使われる材料、4番目に多く使われるのはタイルや石。
出典:名古屋モザイク工業
住宅展示場やキッチンのショールームなどで、キッチンの床によく使われている材料がタイルや石です。
見栄えがいいので、ショールームなどで採用するのだとは思いますが、実際の住宅でキッチンの床にタイルを選択することは、実はあまりありません。
理由は以下。
- ものを落とした時に割れやすいなど、扱いが難しい
- 目地の掃除が面倒
- 金額が高い
- 足ざわりがよくない(固いので足が疲れる)
見た目の良さを打ち消してしまうほどのデメリットが。
普段スリッパをはいて生活している人で、見た目の美しさを重視する人なら、キッチンの床材にタイルや石張りを選んでもいいかもしれませんね。
キッチンの床によく使われる材料のメリットデメリットと選び方
次は、キッチンの床によく使われる材料のメリットやデメリットなど、各床材の特徴を一覧表で見てみましょう
1つずつ項目を見ていきます。
キッチンの床|価格比較
キッチンの床によく使われる材料を、価格で比較します。
- フローリング:7,000円~16,000円/㎡
- フロアタイル:4,300円/㎡
- フロアシート:2,850円/㎡
- タイル・石:5,000円~20,000円/㎡
※定価(目安)
実際には定価に対して20~70%程度の値引きがあり、施工費が別にかかります。
床の施工費は各材料一律ではなく、
タイル>フローリング>フロアタイル>フロアシート
の順で安くなっていきます。
価格の低い材料ほど施工費も安いので、より価格の差が開くということになりますね。
タイル・石の価格がフローリングとたいして変わらないように見えますが、実際は違います。
フローリングはものにもよりますが、40%くらい値引きされる商品が多く、タイルや石は20%程度の値引きしかされないことがほとんど。
さらに、施工費もフローリングよりタイルや石の方がググッと高くなるので、トータルで見ると感覚的にはタイルや石でキッチンの床を仕上げると、フローリングの倍はかかるイメージです。
キッチンの床|掃除のしやすさ比較
キッチンの床によく使われる材料を、掃除のしやすさで比較します。
- フローリング:
- フロアタイル:
- フロアシート:
- タイル・石:
☆が多いほど掃除がしやすい材料
フローリングは木製なので、ビニール系の素材と比較すると、掃除のしやすさは劣ります。
フロアタイルやフロアシートは、ビニール系の材料なので、どちらも掃除性は抜群。
どちらかというと、材料に厚みと強度があるフロアタイルの方がゴシゴシ拭けるので、高評価にしています。
タイル・石については、ビニール系床材よりも強度があるので、さらにゴシゴシ拭けますが、目地がある分ちょっと掃除がしにくい面もあり、フロアタイルと同等の清掃性としました。
キッチンの床|耐久性(材料のモチ)比較
キッチンの床によく使われる材料を耐久性(材料のモチ)で比較します。
- フローリング:
- フロアタイル:
- フロアシート:
- タイル・石:
材料のモチ(耐久性)の面では、断トツでタイル・石が優秀。
経年劣化がとても少ない材料です。
とはいえ、タイルや石は固いものを落としたりすると、割れてしまうという欠点が。
フロアタイルもそんなに劣化が早い材料ではありませんが、陶器や石と比べるとビニール系の材料は敵わないので、タイル・石よりは評価を落としています。
フロアシートもビニール系ですが、こちらは厚みがなくやわらかい分、長く使う間にやぶれてしまったり、つなぎ目の口が開いてきたりしてしまいます。
ですので、フロアシートは、モチという意味では一番劣る床材。
そうはいっても、フロアシートは施工的にも金額的にも、手軽に張り替えられる材料。
劣化したら張り替えるという前提で選定しましょう。
フローリングのモチは、使い方に大きく左右されます。
油汚れなどを長く放置していると、黒くシミになってしまうし、常に水などで湿っているような状況だと、表面の木がはがれてささくれ状になってしまったりします。
キッチンの床|高級感比較
キッチンの床によく使われる材料を高級感で比較します。
- フローリング:
- フロアタイル:
- フロアシート:
- タイル・石:
高級感で言えば、石がダントツで優れています。
次にタイル。
清潔感があり、高級感も文句なし。
キッチンのショールームや住宅展示場に、石張りのキッチンが多いのは納得です。
次に高級感があるのは、フローリング。
フローリングとひとことで言っても、無垢のフローリング、突板フローリング(表面に本当の木材を使用)、シートフローリング(表面にプリントしたシートを使用)など、色々あるので、選ぶものによって高級感は異なります。
その次に高級感があるのはフロアタイル。
最近の材料は印刷技術が優れていて、パッと見、フローリングにしか見えないフロアタイルや、石やタイルに見えるフロアタイルもあります。
サンプルを見て、その質感を確認してみてください!
高級感という面でもっとも劣るのは、フロアシート。
耐久性のところでも説明しましたが、「手軽に使える」ところがウリの材料なので、高級感や耐久性を求める人には向かない材料です。
キッチンの床|足ざわり(心地よさ)比較
キッチンの床によく使われる材料を、足ざわり(心地よさ)で比較。
- フローリング:
- フロアタイル:
- フロアシート:
- タイル・石:
キッチンは長時間立って使う場所なので、足ざわりがとても重要。
スリッパを日常的に履く人は、素足で過ごす人よりは気にしなくても大丈夫ですが、それでも材料による疲れや冷えなどは違いが出ます。
もっとも足ざわりがよいのがフローリング。
フローリングは木製なので、固さの面でも温かさの面でも、一番足にやさしくて過ごしやすい材料です。
その次に足ざわりがよいのは、フロアシート。
フロアシートは別名「クッションフロアー」ともよばれるクッション性に優れた材料です。
ここで注意があります。
フロアシートはクッション性が高い材料ではありますが、材料の厚みが薄いので、固いところに直接張ると固さがダイレクトに足に伝わってしまいます。
ですので、マンションなどで、コンクリートの床に直接床材を張っているような場合、フロアシートのような薄い材料だと、かなり固くて冷たい足ざわりになります。
コンクリート直の床に張る材料としては、ラバーが裏に張り付けてあるフローリングがおすすめ。
フロアシートの次に足ざわりがよいのは、フロアタイル。
フロアタイルはクッションフロアのようにクッション性はありませんが、タイルや石よりはビニール系の材料を使っている分やわらかいので、この評価にしています。
足ざわりが一番固くて冷たいのがタイルや石。
これは材料の固さを考えると、しかたのない特性ですね。
スリッパを日常的に履いている人でないと厳しい床材です。
キッチンの床|材料のメリットデメリットから考える床材の選び方
キッチンの床は「何を重視するか」によって、選ぶべき材料が変わります。
- 価格の安さを重視するなら「フロアシート」
- 掃除のしやすさを重視するなら「フロアタイル」
- 材料の耐久性や高級感を重視するなら「タイルや石」
- 足ざわり、快適さを重視するなら「フローリング」
自分が何を重要だと考えるかによって、キッチンの床を選びましょう。
キッチンの床は他の空間と同じ材料がいい?
「キッチンの床と、ダイニングやリビングなどの床とは、同じ材料を使ったほうがいい?」
このような質問をよく受けます。
これに対しては、どちらを選んでもおかしいということはないので、筆者は以下をアドバイスして選んでもらっています。
- より一体感を出すことを求める→キッチンとLDの床は同じ材料にする
- 掃除のしやすさなどの面を重視→キッチンの床はLDなど他の空間とは異なる掃除のしやすい床材にする
キッチンの床と他の空間の床を同じ床材にしない場合は、その色の相性をよく考えて選びましょう。
LDとキッチンの床を違う材料にした場合の例も少し載せておきますね。
出典:リクシル アレスタ
出典:ホームプロ
出典:ホームプロ
一体感は少しなくなるかもしれませんが、「絶対他の空間の床とキッチンの床は、同じ床材でないとおかしい!」というわけではないことがわかると思います。
キッチンの床とキッチンセットの扉色はどちらを先に選ぶべきか
「キッチンの床とキッチンセットの扉材はどちらを先に決めたらいいか」
よくお施主様に質問されるので、説明します。
キッチンの床を他の空間と同じ材料にする場合
キッチンの床に他の空間と同じ材料を使う場合、ここで選ぶ床材が家全体のインテリアを大きく左右します。
ですので、まず自分のイメージに合う床材を選んでから、それに合うキッチンの扉を選ぶことをおすすめします。
キッチンの床だけを他の場所とは異なる材料にする場合
キッチンの床だけを他の場所とは異なる材料にする場合は、キッチンの扉を先に決め、後からその扉と相性のよさそうなデザインの床材を選ぶのがおすすめ。
特にキッチンの床をフロアタイルやフロアシートにする場合、材料の色・柄・形状など品ぞろえがとても充実しているので、たくさんの選択肢の中からキッチンの扉に合うフロアタイルやフロアシートを選べます。
キッチンの床|色選びのポイント
キッチンの床の色を選ぶ時に注意したいのが、以下3つのケースです。
- 木目のキッチン扉の場合
- ちょっとだけ違う色の組合わせ
- 一年を通じて心地よい色選び
1つずつ説明していきます。
木目のキッチン扉の場合
家の中にはたくさんの木目の材料があります。
フローリング、出入口ドア、家具、照明器具、カーテンレール、窓枠、巾木、廻縁、などなど。
すでにたくさんの木目の材料を使っている中で、さらにキッチンの扉も木目にする場合は、床との相性をよく考えなければなりません。
木目の強い床と、木目の強いキッチン扉だと、お互いの個性がケンカしてしまうことがあります。
また、床の木目とキッチンの扉材の木目が、似ているんだけど少し違うという場合も、チグハグに仕上がってしまう可能性大。
ですので、「濃茶の木目と白っぽい木目」など、ガラっと違う木目同士を合わせた方が、ちょっと違う木目の組合せよりも、お互いの個性を引き立て美しく仕上がります。
木目のキッチン扉の場合は、通常の色合わせにプラスして、木目の相性も確認して床選びをしましょう。
ちょっとだけ違う色の組合わせ
木目のところでもお話しましたが、インテリアの色合わせにおいて「ちょっとだけ違う色同士を並べてつかう」というのはチグハグな印象になりがち。
同じ系統の色味で濃淡をつけた組合せはきれいですが、黄味の強い濃茶と赤味の強い濃茶などの色合わせは、あまり美しく仕上がりません。
ちょっとだけ違う色を使うくらいなら、ガラッと違う色合わせ、たとえば、濃茶とアイボリーなどにした方が相性がよいことも。
キッチンの床とキッチンの扉など、色合わせをする材料は、大きめのサンプルを実際に並べて、色の相性を確認してから決めましょう。
一年を通じて心地よい色選び
日本には四季があるので、一年じゅう心地よい色の材料を選ぶ必要があります。
たとえば白いキッチンと真っ青な床材は色の相性がとてもよくステキに仕上がりますが、その「青」が真冬でも寒々しくないかどうかを考えて選びましょう。
逆に、からし色やオレンジ色など温かみのある色の床材を選ぶ場合は、真夏でも暑苦しくないかを考えて選ぶことが大切です。
キッチンの床に床暖房は必要?
リビングやダイニングに床暖房を入れる場合でも、予算を落とすために「キッチンに床暖房はいらないわ」というお施主様がいらっしゃいます。
この場合、ほぼ100%の確率で、お施主様に「やっぱりキッチンにも床暖房を入れておけばよかった」と後から言われます。
なぜかというと、床暖房は本当に快適で、その快適なリビングやダイニングからキッチンに移動した瞬間に、床がヒヤッとするから。
もちろんリビングダイニングから廊下に出るときも同じようにヒヤッとするのですが、圧倒的にリビングダイニングからキッチンに動く回数の方が多いので、その度に「ヒヤッ」を味わうことに。
しかもキッチンは長時間立って使う場所なので、やっぱり快適にしておくことをおすすめします。
キッチンには床下収納庫があることが多く、床暖房を入れるのにジャマになることがあります。
その場合は、どこか別の場所に床下収納庫を動かすことができないかを検討してみてください。
キッチンの床に床下収納庫、点検口は必要?
出典:フクビ化学工業
戸建てのキッチンにはたいてい床下収納庫がついていますが、床下収納庫は収納だけでなく床下を点検するための出入口も兼ねています。
ですので、床下収納庫を単純に撤去してしまうと床下の点検ができなくなってしまいますが、他の位置から床下を点検することができるのなら、移設や撤去も可能。
基礎の状態を図面などでリフォーム会社に確認してもらった上で、検討してみてください。
また、キッチンの床下収納庫に収納するものが特にないという場合は、わざわざ収納庫にする必要はなく、点検口だけつけるという選択も可能。
点検口と収納庫の違いは、単にフタを空けて収納できるか否かの違いです。
床下収納庫にしても、床下点検口にしても、床下からの冷気が上がってこないように、「断熱タイプ」の商品を選ぶと安心。
キッチンリフォームの必勝法
キッチンのリフォームは、床材選びだけでなく、検討することがたくさん。
たくさんの選択肢の中から、あなたにとって最良の選択をし、リフォームを成功させるために、以下の記事が必ず役立ちます。
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リフォームに失敗してしまう人が、1人でも減るようにと願い、書いた記事です。
リフォームのウラもオモテも知り尽くした筆者が、リフォームの必勝法を伝授します!
キッチンの床選び|まとめ
キッチンの床はリビングやダイニングなどと比べ、材料の選択肢がたくさん。
その分、どの床材にしようかとても迷いますよね。
キッチンの床を決めるポイントとしては、
- リビングやダイニングなどの他の空間と同じ床材にするかどうかを決める
- 違う床材にする場合は、重視する内容によって選ぶ
- 価格の安さを重視→「フロアシート」
- 掃除のしやすさを重視→「フロアタイル」
- 材料の耐久性や高級感を重視→「タイルや石」
- 足ざわり、快適さを重視→「フローリング」
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