突き板フローリングのメリット、デメリットについて、リフォーム設計のプロである筆者が説明します。
突き板フローリングは質感と価格のバランスがよいので、筆者が設計するリフォーム案件で、もっとも多く採用するフローリング。
また、数ある突き板フローリングの中で、どんな商品を選ぶべきかも、プロならではの視点でお話します。
築20年以上の家を頻繁に目にすることがある筆者だからこそわかる突き板フローリングの劣化について、画像をお見せしながらお話していきます。
この記事では、
- 突き板フローリングのメリット
- 突き板フローリングのデメリット
- 突き板フローリングの選び方
- 突き板フローリングがおすすめな人
- 突き板フローリングをおすすめできない場所
これらについて、無垢や挽き板、シートフローリングと突き板フローリングを比較しながら説明していきます。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
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フローリングの種類についてはこちらの記事をどうぞ。
無垢フローリングについての記事はこちらをどうぞ。
挽き板フローリングの記事はこちら。
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突き板フローリングのメリット・デメリット【特徴一覧表】
突板フローリングのメリットやデメリットを詳しく説明する前に、まずは一覧表で突き板フローリングの特徴を見てみましょう。
突き板フローリング | |
質感のよさ | |
価格の安さ | |
手入れの簡単さ | |
長持ちしやすさ | |
経年変化しにくさ | |
寸法安定性の高さ |
突き板フローリングは質感がそこそこよく、金額がお手頃なので、筆者が設計するリフォーム案件でも一番多く採用するフローリングです。
最近ではシートフローリングを採用する現場が多いため、それよりは質感がよく高価な突き板フローリングは「高級フローリング」の位置づけになりつつあります。
フローリングには突き板フローリングの他に、
- 無垢フローリング
- 挽板フローリング
- シートフローリング
この3種類があります。
それらのフローリングの違いは断面。
出典:朝日ウッドテック
突き板フローリングは画像のように断面の上0.3㎜程度の部分が銘木、その下は合板です。
この画像では「意匠材」となっている部分が銘木です。
このスライスした銘木を突き板といい、突き板を表面に張ったフローリングを突き板フローリングといいます。
銘木部分が0.3㎜程度ととても薄いので、木目の深さなどの質感は、どうしても無垢や挽き板フローリングにはかないません。
また、銘木が薄い分、その上の「塗装」部分がとても重要。
次は、突き板フローリングのメリットを詳しく見ていきましょう。
突き板フローリングのメリット
突き板フローリングのメリットは以下の3つ。
- 価格の安さ
- 手入れの簡単さ
- 寸法安定性の高さ
1つずつ解説します。
突き板フローリングは価格が安い
突き板フローリングは、無垢や挽き板のフローリングと比べ、だいぶお手頃な価格です。
突き板フローリングの中にもグレードが色々あるので、価格も商品によってまちまち。
でも、全体的な価格としては、無垢や挽き板フローリングより安く、シートフローリングよりは高いという位置づけです。
とはいえ、先にもお話したように、最近はシートフローリングが主流。
今や、突き板フローリングをお手頃価格と言ってはいけないのかもしれません。
「無垢や挽き板フローリングと比べると安価」という言い方が一番正しいですね。
突き板フローリングは手入れが簡単
突き板フローリングは無垢や挽き板フローリングと比べると、お手入れがグッと簡単。
銘木部分が薄いため、それを保護する塗料にこだわった突き板フローリングが多く、ワックス不要などの機能がついたものも。
もちろん、フローリングなので水などをこぼしてしまったり汚れた場合は、すぐにふき取らないとシミになってしまいます。
それでも、定期的にオイルを染み込ませてメンテナンスをするようなお手入れは不要。
このような人には、突き板フローリングやシートフローリングがおすすめです。
突き板フローリングは寸法安定性が高い
突き板フローリングは表面の0.3㎜部分の銘木以外は合板でできているので、経年や季節を通じての寸法変化がほとんどありません。
筆者はリフォーム設計の仕事をしているため築20年以上の家を見ることが多いですが、突き板フローリングが縮んだり膨れたりすき間が大きくなったりしているのを見たことはありません。
このように寸法安定性が高いので、床暖房にもおすすめです。
突き板フローリングのデメリット
次は突き板フローリングのデメリットを見ていきます。
突き板フローリングのデメリットは以下3つ。
- 質感があまりよくない
- 長持ちしない
- 経年変化(劣化)しやすい
1つずつ説明します。
突き板フローリングは質感があまりよくない
突き板フローリングは表面の0.3㎜程度だけが銘木で、残りは合板だと先にお話しました。
そのため、無垢や挽き板フローリングと比べると、木目の深みがあまり出ません。
言葉で言うより画像で見てもらった方が早いので、比較してみましょう。
突き板フローリング
出典:パナソニック
フローリング1枚1枚に表情の違いがなく、全体的にのっぺりとした平面的な印象です。
次は無垢フローリングを見てみましょう。
無垢フローリング
出典:マルホン
木目の深み、フローリング1枚1枚の表情の違いが、突き板フローリングとは異なるのが、画像でもわかりますね。
また、足ざわりも突き板フローリングと無垢フローリングとでは全く異なります。
突き板フローリングはほぼ合板ですから、木の温かみややわらかさは出にくく、ヒヤッと冷たく硬めの足ざわり。
もちろん合板と言えど「木」なので、タイルやフロアタイル、フロアシートと比べるとやわらかく温かい足ざわりにはなります。
突き板フローリングはあまり長持ちしない
突き板フローリングは、実はあまり長持ちするフローリングではありません。
その理由は次に説明する経年変化のしやすさによりますが、突き板フローリングの経年変化はいわゆる「味」にはつながらず、単なる「劣化」になることがほとんど。
残念ながら、フローリングの中で最も長持ちしないのが、この突き板フローリングです。
突き板フローリング経年変化(劣化)しやすい
突き板フローリングが長持ちしない理由は、この経年変化(劣化)しやすいという性質です。
無垢や挽き板フローリングの経年変化は「味が出てきた」と言えるのに対し、突き板フローリングの経年変化は単なる「劣化」。
画像で違いを見てみましょう。
無垢や挽き板フローリングの経年変化
出典:マルホン
色々な経年変化のしかたがありますが、画像はその一部です。
それに対して突き板フローリングの経年変化はこんな感じ。
劣化した突き板フローリング
日差しや水分などにより表面の塗装がとれ、白っちゃけています。
さらに、銘木部分もささくれのようにめくれてしまっています。
突板フローリングが特に劣化しやすい場所は、掃き出し窓付近。
陽が当たり雨に濡れやすいので、とても劣化しやすいのです。
そして、ここまで劣化してしまった突き板フローリングは、リペア屋さんに高いお金を払って特殊塗料で木目を描くなどの補修をしてもらうか、張り替えるしかできません。
リペア費用はとても高いので、補修範囲が部分的ではない場合は、張替費用を軽く超えることも。
突き板フローリングの選び方
ここまでに突き板フローリングのメリットやデメリットをお話してきましたが、悪いところばかりが目立つ内容だったと思います。
確かに、突き板フローリングは、持ちや劣化の面から見ると、他のフローリングに比べて劣ります。
でも、種類が豊富で価格的にも採用しやすいので、選択されることがとても多いのです。
では、その豊富な突き板フローリングの中から、どんな商品を選べばいいか。
リフォーム設計のプロである筆者が、突き板フローリングを選ぶときにおすすめしている条件は以下。
表面の塗装がしっかりしている
これに尽きます。
何度もお話している通り、突き板フローリングの銘木部分は表面のたった0.3㎜程度。
その銘木部分をいかに保護するかが、突き板フローリングを劣化させないポイントです。
そして、フローリングの溝部分にも、しっかりと塗装やコーティングがされていることも重要。
フローリングの溝部分にまで、しっかりとコーティングが行き届いている商品は、思ったほど多くありません。
サンプルを取り寄せて、コーティングの具合をよく確認してみてくださいね。
参考までに同じ0.3㎜程度の突き板を使用したフローリングで、どこまで差が出るのかを画像で見てみましょう。
朝日ウッドテックというメーカーの突き板フローリング2ブランドで比較してみます。
- ライブナチュラル(ハイグレード)
- エアリス-α(普及品)
ライブナチュラル
ライブナチュラルは「木味活性化処理」を施した上に「ピュアハード塗装」をしています。
突き板フローリングでもそんなに質感は悪くないかも!と思いませんか?
エアリス-α
出典:朝日ウッドテック4
エアリス-αの塗装は単なる着色塗装です。
ですので、上のライブナチュラルの塗装やコーティングと比べ、水や日差しには弱く、劣化もしやすいフローリング。
シートフローリングのなんちゃって木目と比べれば質感はいいですが、上のライブナチュラルや無垢、挽き板フローリングと比べると、どうしても平面的なのっぺり感がありますね。
突き板フローリングはどんな人におすすめか
突き板フローリングがおすすめなのはこんな人です。
- 予算をおさえたい人
- なんちゃって木目が嫌な人
- お手入れ簡単な床材がいい人
突き板フローリングは、シートフローリングと違い「本当の銘木」を表面に使用しています。
筆者もそうですが、この「なんちゃって木目」が嫌いな人は結構多く、そういう人にはシートフローリングは向きません。
それでも「無垢や挽き板フローリングを選択するほど予算はかけたくない」という場合に、突き板フローリングを選びます。
実際、筆者が設計する90%以上のリフォーム案件でこの突き板フローリングを採用。
その理由は、価格と質感のバランスがもっとも取れているからです。
お手入れも無垢や挽き板フローリングと比べると、ずっとラクなので、面倒くさいことが嫌いな人にもおすすめ。
そして、寸法安定性が抜群なので、床暖房を採用したい人もぜひ。
突き板フローリングがおすすめできないのはどんな人か
とてもバランスがよく、採用されることの多い突き板フローリングですが、おすすめできない場所があります。
- 水などがよくかかる場所
- ペットのおしっこがかかる可能性のある場所
まず、突き板フローリングは水や日差しで劣化しやすいので、水がよくかかるような場所には向いていません。
浴室の出入口部分にマットをひきっぱなしにするなども、マットの下に湿気がたまり、フローリングを劣化させることにつながります。
水に濡れたら、すぐに拭いて乾燥させることが大切。
また、突き板フローリングだけではありませんが、ペットのおしっこはフローリングの大敵。
おしっこは特にシミになりやすいので、トイレトレーニングが済んでいないペットがいる場合は、フローリングを選択することは避けましょう。
同じ理由で、トイレに突き板フローリングを使うこともあまりおすすめできません。
突き板フローリングのメリット・デメリット・選びかたについてまとめ
突き板フローリングのメリット、デメリット、選び方についてお話してきました。
突き板フローリングの最大のメリットは、価格と質感のバランス感。
0.3㎜程度とはいえ、銘木を使用しているフローリングなので、それなりの高級感は出ますし価格もそれほど高くはありません。
逆に、突き板フローリング最大のデメリットは、経年変化≒劣化なこと。
経年変化で木の味わいが増すのではなく、白っちゃけたりささくれたりするので、変化を楽しむことはできません。
数ある突き板フローリングの中でおすすめなのは、表面の塗装がしっかりしているもの。
サンプルを取り寄せ、実物をしっかり確認して商品選びをしてくださいね。
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